昨今、「サーキュラー・エコノミー(以下、CEという)」という名のビジネスモデルが注目を集めている。
欧州を中心に政府・企業においてこの実践が進められ、日本でも実装の検討がなされている。
本稿では、CEの意味するところと具体例を見ながら、それがもたらしうる便益について考察する。
CEは「循環経済」と訳される。
その名の通り、製品・資源を最大限に活用し、
その価値を保持したまま永続的に再生・再利用し続けるビジネスモデルを意味する。
現在の大量生産・大量消費型のビジネス形態を継続した場合、
2030年には世界で約80億トン分の天然資源が不足し、
4.5兆ドル(約500億円)の経済損失を被るといわれている(*)。
こうした背景から、従来の直線型経済――「作って、売って、廃棄する」モデルから、
循環型経済への移行が急務となっている。
* 出典:アクセンチュア
(画像出典: Circular Flanders,” Plan C”)
政府や企業はすでに動きはじめている。
2015年には欧州委員会でCEに関する政策が採択され、
日本でも経済産業省が主導して実装が検討されている。
企業の取り組みとしては、蘭・フィリップスの「光の販売」が好例だろう。
電球という寿命があるモノの販売から、光を提供するサービスの販売という発想の転換のもと、
製品廃棄を最低限に抑えるモデルを提供している(下図の「サービスとしての製品」に該当)。
同社をはじめBtoCビジネスを展開する企業の活動は、
新しい経済への一般消費者の参加も促す。
(図出典: NewsPicks,「「無駄を富に変える」成長戦略、『サーキュラー・エコノミー』とは何か」)
CEへの世界的な注目は日々高まっており、
それに呼応して政策や企業の取組みが加速している。
この新しいビジネスモデルは、
経済成長と環境・社会課題を同時に解決する可能性をもつ。
「持続不可能」な地球環境というネガティブな事実を背景としつつも、
一方でビジネスモデルの移行による莫大な経済効果や効率的な資源循環を考慮すれば、
それが実現しうる未来は明るいといえるだろう。
とはいえ、政策や企業活動の範囲に留まっては、十分なインパクトは得られない。
地域のコミュニティや個人も参加できる土壌が整えば、
CEが従来の直線型経済に取って代わる日もそう遠くはないかもしれない。
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・ アクセンチュア,( https://www.accenture.com/jp-ja/insight-creating-advantage-circular-economy )
・Ellen Macarthur Foundation, “Selling light as a service”
(https://www.ellenmacarthurfoundation.org/case-studies/selling-light-as-a-service
・Europe Comission, “Closing the loop”(https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_15_6203)
・Circular Franders, “Plan C” ( https://vlaanderen-circulair.be/en/about-us )
・ Megatrends Watch, “Resources Megatrends (http://www.megatrendswatch.com/resources-megatrends.html)
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