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2020.03.16

マイクロビースに揺れる美容業界

  • SDGs

リサーチの背景

海洋流出したビニール袋やペットボトルが劣化細分化されたマイクロプラスチックは
認知度があがってきた。
しかし、洗顔料や歯磨き粉、化粧品などより排出される
マイクロプラスチックビーズについては未だ知らずに使用している人も多いのではないだろうか。
消費者へ意識改革のきっかけになればと想い、本テーマを考察する。

知ってる?マイクロビーズの存在

マイクロビーズとは、ポリエチレンやポリプロピレンなどプラスチックで作られた
直径が0.5ミリ以下のプラスチック粒子のこと。
肌の汚れや角質除去を目的として洗顔料や歯磨き粉等に添加されている。
日本でも「スクラブ」として一時期流行した為、認知度はあるかもしれない。
だが、マイクロビーズの添加は洗顔料だけではなく、
口紅やアイシャドーなど多くのメークアップ化粧品にも用いられている可能性がある。
肌に馴染みやすく落ちにくくする効果をもたらすことができるからだ。

マイクロビーズは微細であるため、洗い流されそのまま川や海に流れ込んでしまう。
さらに環境中の毒素や汚染物資などを吸着濃縮し、
環境汚染や、食物連鎖で人間にも深刻な影響を与えるリスクが指摘されている。


洗顔料中のマイクロビーズ(画像出典: 環境省「海洋ごみ学習用教材」)

世界が使用禁止に乗り出した

世界が使用禁止に乗り出した

マイクロビーズ使用規制の動きは世界では2014年頃から始まっている。
2015年12月には、アメリカ全土で「マイクロビーズ除去海域法」が成立している。
欧州では、2016年にイギリスとフランスが、アジアでは台湾が2018年に使用規制を行っている。

日本にはマイクロプラスチック廃止を定める法案はないものの、
2016年3月に日本化粧品工業連合会が会員企業に対し、
洗い流しのスクラブ製品におけるマイクロビーズの自主規制を促している。
さらに、マイクロビーズの規制が進む欧米への輸出に対応するため、
国内主要メーカーが自主規制を行ってきている。具体的な取り組みは以下の通り。

・コーセー:2014年度にマイクロビースの配合を中止
・花王 :2016年末までにすべて代替素材へ切り替え
・資生堂 :2018年末までに切り替え
・ポーラ :2018年末までにすべて代替素材へ切り替え

毎日使用するものこそリスクを避ける選択を

日常的に使用している化粧品等にマイクロビーズが用いられている事実をどう受け止めるだろうか。
日本は企業の自主規制に委ねている為、私達消費者が成分表示を確認し選別しなければ避けられない。
マイクロビーズの禁止は世界基準となっている今、日本もこの国際的な規制の流れに追随し、
今後は行政レベルでの規制が求められるのではないだろうか。

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参照・引用資料

・環境省:海ゴミシンポジウム20016年「洗顔料や歯磨きに含まれるマイクロプラスチック問題」
・環境省:環境省「海洋ごみ学習用教材」
・株式会社三菱化学テクノリサーチ「平成28年度国内外におけるマイクロビーズの流通実態等に係る調査業務報告書」

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