私たちは音楽と共に暮らしています。
常にまわりには何かしらの音楽があり、生活に欠かせないものとなっています。
筆者も音楽が好きで、幼少期から数々の楽器に触れてきました。
みなさんも慣れ親しんだ楽器があるのではないでしょうか。
そんな楽器類は木でできているものが多く、高級木材が使われることもあり、
現在その高級樹種は絶滅の危機にあることがわかりました。
これまで引き継がれ大切にされてきた伝統ある楽器を、樹種を、
ここで途絶えさせることなく、未来へも持続させていかなければなりません。
多方面で行われている取り組みの一部を紹介します。
是非、本レポートをご覧ください。
1.楽器素材で使われる高級木材が準絶滅危惧に
〈高級木材の使用状況〉
- 違法伐採等により高級木材の数が激減し、準絶滅危惧となりワシントン条約で国際取引の規制対象となった
- ギターに使われるブラジリアンローズウッドは、1980年代のブラジルにおける経済成長に伴い原生林が宅地に変わるとすぐに絶滅危惧種に指定された
- 楽器の特性上、見た目だけでなく音質にも関わる木材には、常に良質なものが求められる
- 天然林では多幹で多くの枝を持つことが多く、製材時の歩留まりは9%程度で、それ以外は廃棄されていた
→準絶滅危惧種の希少な高級木材を救う
2.廃棄されていた部分を買い取り、製品として使用
〈米・テイラーギター社の取り組み〉
- 高級木材1本の幹のうち10%の真っ黒い部分を使用したギターの指板材で使われる「エボニー(黒檀)」の製造時、白い(まだらが煙のように見える)模様があるため廃棄されていた90%を全て同価格で買い取り、製品に取り入れた
- 黒くないエボニーを「スモーキーエボニー」と名づけ、黒いエボニーと同価格で買い取り、木材を余すことなく使い切る製造方法に切り替えた
- 見た目の問題だけで廃棄されていた白っぽいエボニーは、音響特性に全く問題がなく同質
- アコースティックギターモデルに、このスモーキーエボニーを積極的に使用し、現在アメリカでエレキギターを抜いて販売額NO1の商品となった
→希少な高級木材の端材も無駄にしないために…
3.ギター製作の際に余る木材(端材)で食器を作る
〈ギター工房で、端材を使う新しい取り組み〉
- 飲食店店主からの提案で、ギター製作の際に出る端材から木皿を制作
- ギター向けの高級木材(メイプル、マホガニー)は、一般的な食器に使うものより含水率が低く、上質で耐久性がある
- 端材を利用することで安価で高い品質のものを作ることができる
→希少な高級木材との今後の課題
4.100年後も質の良い楽器が存在し続けるために
〈企業に求められる取り組み〉
- 伐採された木材に対して、いかに長くその森林環境を持続できるか、資源をいかに効率良く無駄なく使うか、というモラルと工夫がメーカー側に求められている
- 木材伐採会社を自分達で所有する事で、自社で伐採量を厳重に管理し、森林育成に努める企業が増えている
- 木は植林後に数十年~数百年、数千年と生き続け、その後伐採されて植物としての生命が終わった後、木材としての価値を発揮されて生き続けるが、楽器製造後の余った端材も三度目の新しい命を吹き込んで無駄なくありがたく使いきり、大事にしていきたい
- 木を切って楽器を作るだけではなく、「木も創れる」企業の取り組みを増やすことが必要だ
→資源を持続可能な形で管理・利用する
5.参考・補足:多方面での端材再利用
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