"本から「環境」を学ぶ”と題して、環境に関するトピックを扱う書籍の内容を紹介します。
今回は、"Drawdown -The Most Comprehensive Plan Ever Proposed to Reverse Global Warming"を取り上げます。
"Drawdown”は表紙に「ニューヨークタイムズ・ベストセラー本」と冠した、
地球温暖化を逆転させるための100の解決策を示した本です。
アメリカの環境保護ジャーナリストのポール・ホーケン氏を中心に編集され、2017年4月に発刊されました。
本書は世界中の一流の科学者や政策立案者による綿密な研究に基づいており、
クリーンエネルギーから低所得国の女子教育、炭素を大気から吸収する土地利用慣行まで、
多岐にわたる「解決策」が紹介されています。
また各項目には、2050年までの影響度が大きい順でランキングがついています。
ところで、「地球温暖化を逆転させる」とは、どういうことでしょうか?
気候変動が顕在化し、地球温暖化は日に日に深刻化しています。
しかし、本書で紹介されている取組みが今後30年間で世界規模で展開されれば、
地球の温暖化を遅らせることが可能になると、ホーケン氏は提言しています。
また、タイトルにもある「ドローダウン」という言葉は、
大気中の温室効果ガスが年々減少し始めるポイントを指し、
気候変動を逆転させ、世界の平均気温を下げるためのゴールとされています。
今回は、本書の中でランキング55位に位置している、
“Household Recycling”「家庭内リサイクル」から要点を抜粋して、
世界規模のリサイクルについて考えてみようと思います。
都市化により、世界のごみの量は数年で現在の10倍となり、
更に2025年までにはそのまた2倍(!)になると予想されています。
ところでみなさん、世界のごみはどこから出されているのでしょうか。
大規模な工場からの排出が多いイメージがあるかもしれません。
しかし、世界のごみの半分以上は、家庭から出されているのです。
したがって、家庭ごみをリサイクルすることは
温室効果ガスの排出を減らすために重要なのです。
発展途上国はごみの分別すらされず、
ごみが溢れかえっているイメージがありませんか?
実際には高所得地域と低所得地域では、リサイクル率に大きな違いはありません。
なぜでしょうか。
その理由には、Waste Pickers(ウェイスト・ピッカーズ)の存在が大きく関係しています。
ウェイスト・ピッカーズとは、処分場に集められたごみの中から
有価物を収集・売却することでお金を得る人達のことです。
健康への悪影響や土壌汚染などの問題はもちろんありますが、
彼らのおかげで、結果的にリサイクル率を上げることに繋がり、
先進国のリサイクルシステムに匹敵するものとなっているのです。
温室効果ガスを削減するためには、
リサイクルをするだけでなく、その素材を使うことが大きなポイントとなります。
実は、リサイクル素材の50%は家庭からきています。
リサイクル可能な素材のうち、65%以上がリサイクルされれば、
家庭から排出される二酸化炭素は2.8ギガトンも削減できます。
また、リサイクル素材から製品をつくることで、
生産過程におけるエネルギーを節約し、より少ない資源をもとに汚染を最小化することができます。
例えば、再生材のアルミニウムを使えば、
バージン素材を使うよりも95%のエネルギー削減に繋がります。
きれいな装飾を身に着けているのは、スーダンのダサネッチ(Dasasanach)民族。
よく見ると、キラキラ光る金属は「ビンの蓋」だと気づきましたか?
彼らは、現代テクノロジーからほとんど隔離された地域に暮らす民族です。
ダサネッチの女性は驚くほどクリエイティブで、
ボトルキャップや時計のバンド、SIMカードから髪飾りやネックレスを作ります。
また、「リサイクル髪飾り」を観光客にも売ったりもしているそうです。
地球温暖化を防ぐため…など高尚なことを言わずとも、
彼らはリサイクルと再利用を実践しているのですね。
ある意味、彼らの工夫は最先端と言えるかもしれません。
"Drowdown"の"Household Recycling"を紹介しながら、
世界規模のリサイクルについて考えてみました。
世界のごみの半数を占める家庭ごみ。
家庭からでるごみを「ごみ」にせず、
素材としてリサイクルし、循環利用していくことが重要なのですね。
(解釈はそれぞれ異なると思いますので、ぜひ原文にも当たってみてください。)
世界では次々と新しい製品が作られ、私たちの暮らしも豊かになっています。
一方で、新たな製品・素材の出現は、
リサイクルを困難にしているという面もあります。
温室効果ガス削減を実現をするために今後必要となるのは、
ただ新しく便利なものが溢れる社会を目指すのではなく、
循環型社会を実現可能にする基盤を整えることではないでしょうか。
(ライター: M.M)
Drawndown, The Book
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