2017年、中国の廃プラスチック輸入禁止を受け、行き場を失った日本の廃プラスチックは、
関連業界だけでなく、我々の日常生活にも影響を与え続けている。
廃プラスチックを原料の一部とするRPFの活用による循環型社会実現への可能性を考察する。
2017年7月、中国政府が改正した「輸入廃棄物管理目録」により
生活由来の 廃プラスチックや未分別の紙くず、繊維くず の輸入が制限され、
2018年1月より 資源ごみの中国輸出が禁止 となった。
これは、使用・排出企業はもとより関連業界に大きな衝撃を与えた。
実際、我々の身近なところでも小売店や飲食店でのプラスチック製品使用の自粛が相次ぎ、
中国廃プラスチック輸入規制の影響を肌で感じる機会も多くなっている。
その中でプラスの影響を出せるとするのであればRPFではないだろうか。
RPFとは、 再生困難な廃プラスチック・古紙・繊維くず を原料とした固形燃料である。
石炭等の化石燃料の代替になるだけでなく、 排出される二酸化炭素は2/3 に抑えられ、
焼却後残渣は石炭の半分以下 、更にその 残渣は路盤材化が可能 である。
しかし、RPFは生産量がごみの排出量に左右され、
分別不良による塩素系プラスチックの混入や著しい汚損は品質を損なう恐れがあり材料の選別は重要だ。
RPFを燃料として普及させるためには安定的に質のいい廃プラスチックの供給が大前提となる。
そこで追い風となりうるのが今回の中国の輸入規制だ。
日本のプラスチックの使用・排出は年間約940万トンと言われ廃棄物全体の2%ほどである。
うち、約20%がマテリアルリサイクルとして活用され中国などに輸出されてきた。
今回の規制で文字通り“ごみ”になってしまう
その買取されていた比較的品質の高い廃プラスチックこそ“RPFの材料”に流用でき、
中国の廃プラスチック問題を一気にマイナスからプラスに転じるきっかけになるのではないだろうか。
(写真引用: 社団法人日本RPF工業会 HPより)
中国の輸入規制を受けて行き場を失った廃プラスチックをRPF燃料の原料へ転用する。
それは「中国廃プラ問題」解決の糸口になるだけでなく、廃棄物の再資源化を通して環境負荷低減が期待できる。
化石燃焼代替利用ができ且つ安価であることは産業廃棄物排出企業・燃料使用企業ともにメリットを享受でき、
理想的な循環型社会の構築が図れるのではないだろうか。
RPFは化石燃料の代替利用が期待されているが、現状では製紙会社、鉄鋼会社などでは需要があるものの
価格、供給量の兼ね合いから広く導入されているとは言い難い。
今後さらにリサイクル燃料を供給していくためには製造業などだけでなく、
一般的にもっと広く知られ、熱を必要とする大抵の業界で消費される仕組みづくりが必要である。
今日では工場などに設置されているような大掛かりな設備ではなく、
ごく小規模な施設でも費用的にも場所的にも比較的導入しやすいバイオマス燃料専用のボイラーなども登場している。
これにより様々な場面で可能性が広がる。
例えば、 RPFを燃料とした小型ボイラーを汎用し、温泉、プール、養殖場で熱交換による温水が活用できる。
同じく熱交換で発生した温風を利用し、ビルや家屋の暖房も可能。
吸収式冷凍機の熱源として使用すれば暖房だけでなく冷房としても利用が可能となり、
大気汚染物質を大幅に低減し且つフロンを使用しない空調として非常に優れた環境性が実現できる。
今後RPF等のバイオマス燃料を取り巻く環境もめまぐるしく変化を遂げていくだろうと予想される。
資源循環という視点で自分たちが出したごみを自分たちでリサイクルして使うという考え方が一般的になれば、
もっと効率的に生産し、もっと幅広い用途で活用することもできるのかもしれない。
(廃棄物の燃料化の例についてはレポートをご覧ください。)
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社団法人全国産業廃棄物連合会 「RPF製造に係る基礎調査結果報告書」
環境省 「プラスチックを取り巻く国内外の状況」
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