人間の衣食住は自然に支えられており、その上で社会が成り立ちます。
SDGsウェディングケーキモデル(下図)でも、自然環境と関わるゴールは全てを支える位置にあります。
しかし都市化社会を生きる私たちはこのことを忘れがちです。
その現状と、自然環境とのつながりを結び直す視点を考察します。
(画像出典: Stockholm Resilience Centre “How food connects all the SDGs”)
ジャパンSDGsアワード受賞の取組みの内、
自然環境に関わるゴール(6,13,14,15)の延べ数は16.1%と多くはありません。
背景として以下のような調査結果が挙げられます。
①子どもの遊び場は「陸の自然」10%以下・「水辺」0%(平成8年版環境白書調査)
②第一次産業従事者割合が4.0%まで減少(平成27年国勢調査)
③森林と持ちたい関わりについて「散策・ウォーキング」60.2%等、レクリエーションが主(令和元年世論調査)。
自然が衣食住を支えている実感を体験的に得る機会が非常に少ないのが日本の現状です。
(写真: 2017年1月27日, 「心地よい里山へ~環境再生講座」(講師:高田宏臣氏, 著者撮影))
一方で、自然と直接関わりながら環境再生に取り組む団体も多くあります。
例えばNPO法人樹木・環境ネットワーク協会は、
自然と文化を学ぶグリーンセイバー資格検定で人を育て、
里山再生や環境教育の現場へ繋ぐ活動を行っています。
また、NPO法人地球守の高田宏臣氏は、
造成により水と空気の流れが遮断され環境が劣化した住居や山林等に、
土中微生物の力を借り自然の働きを阻害しない造作を施す環境再生を行っています。
この智恵は、神社等の造作に残る日本古来の深い自然への理解と、
現地を体感して自然がどう環境を整えるか読み解くことから得られているものです。
自然に衣食住を支えられている実感を失ってきた時間は、
良かれと思って経済的な豊かさや効率を追求してきた時間でもありました。
それでは解決できないからこそ打ち出されたのが、
SDGsの「誰一人取り残さない」「2030年までに全世界で達成する」という強いメッセージです。
気候変動が激化する地球で生き抜きながらSDGsが描く世界を実現するには、
自然から学ぶ視野と態度を今一度取り戻すことが大切ではないでしょうか。
体験・体感を通して得られる智恵は、情報や知識とは別の英知を含んでいます。
ぜひ、まずは身近な自然を感じ、自然と関わる人たちの思いに触れてみてはいかがでしょうか。
※2020年6月1日時点での野外活動について
新型コロナウイルス感染症対策についての補足
1)個人・家族での散歩などの野外活動は、自粛の対象にはなっておりません。
2)都道府県をまたいだ移動、地域・団体等主催の野外体験活動への参加については、国・都道府県による最新のガイドラインをご確認ください。
参考:「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」
令和2年3月38日(令和2年5月25日変更)
新型コロナウイルス感染症対策本部
https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_h_0525.pdf
本文のレポートを無料でダウンロードできます。
ダウンロードはこちらから
・ 外務省 JAPAN SDGs Action Platform, “ジャパンSDGsアワード”. https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/award/index.html
・ 環境省編,.「環境白書.平成8年版」,1996, http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h08/index.html
・ 総務省統計局, “平成27年国勢調査就業状態等基本集計 結果の概要”,
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/kihon2/pdf/gaiyou.pdf
・ 内閣府, “世論調査報告書 令和元年10月調査 森林と生活に関する世論調査”, https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-sinrin/index.html
・ NPO法人 樹木・環境ネットワーク協会, https://www.shu.or.jp/index.html
・ NPO法人 地球守, https://chikyumori.org/
・『日本住宅新聞』, 高田宏臣, 2016年12月5日~4月5日, 「環境の再生、環境の視点から新たな建築土木へ~土、水 空気の循環から」
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