「夏に元気をくれるビタミンカラー」、「優しいぬくもりを感じるウッドカラー」、広告やパッケージのキャッチフレーズにはたびたび「色」が強調される。企業や商品の顔ともいえるロゴにも、それぞれに印象強い「色」がある。では、色の選択にはどういった意図があるのか。実例を用いて考察する。
ゲーテ(ドイツ,1749-1832)の「色彩論」は、色のイメージを学術的に論じている。これは、こころの動きを研究する「心理学」に近い。色彩論の発展形態の一つである「色彩心理学」は、心の治療(カラーセラピー)や健康維持に色彩を用いる場面に活かされる。プラシーボ効果* の一例として、錠剤の配色によって効き目が左右されるという研究もある。
カラーセラピーは、色彩効果が自律神経に与える影響を利用して行われる心理療法である。例えば、暖色は交感神経を活発にして興奮状態にする作用がある。対して、寒色は副交感神経を活発にしてリラックスさせる作用がある。この療法は各色の特性を活用して心身を整える。
* 本来は薬としての効果を持たない物質によって得られる効果。思い込みの強さが効力を左右する。
企業は、人が色から受ける印象をブランディングに利用する。コーポレートカラーや企業ロゴ、商品のパッケージに反映して、購買意欲や他社との差別化をコントロールする。
特に印象的なのはコンビニエンスストアである。私たちは、道を歩けば無意識に色で店舗を識別している。セブン-イレブン(株式会社セブン-イレブン・ジャパン)は、色彩のみからなる商標を登録し、橙(朝焼け)、赤(夕焼け)、緑(オアシス)で、「朝から夜までお客様のオアシスでありたい」という想いを示す。同業種であるファミリーマート(株式会社ファミリーマート)の青と緑は、「楽しさ・新鮮さ・信頼・安心」を表している。対してローソン(株式会社ローソン)は、青と白の意図を大々的には公表していない。
色によって消費者は愛着を持つ。従業員はブランドを背負う責任感を持つ。これを意図的に組み込む経営は、暮らしの景色を変えている。
色は、言葉なく想いを示す。企業は戦略的な色彩で消費者の購買意欲を掻き立て、マネジメントにも役立てる。これは個人にも言えることではないか。新型コロナウィルスの感染拡大に気持ちが暗くなる日々。何気なく身にまとっていた物や周りに置かれた物を見直し、自分の理想を色に取りこむことで、セルフコントロールが出来ると考える。
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