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コラム 2020.11.10

改正バーゼル条約とプラスチックごみの輸出規制#後編

前編のおさらい

https://www.sfinter.com/topics/post-2125/

 

バーゼル条約に「プラスチック廃棄物」追加

2019年4月から5月にかけて、スイスの都市ジュネーヴで第14回COPが開催されました。決議された条約附属書の改正は、世界的な環境問題として取り上げられている「プラスチック廃棄物」が規制対象物資に追加されたことです。効力が生じる2021年1月1日以降にこれらを輸出する際は、事前に輸入国の同意が必要となります。
日本国内では、2020年10月1日に公布されたバーゼル法に関連する省令の改正(施行は2021年1月1日から)と共に、「プラスチックの輸出に関するバーゼル法該非判断基準」(2021年1月1日以降に輸出入が行われるプラスチックに適用)が公表されました。今回は、この該非判断基準をご紹介いたします。

 

バーゼル法に関連する省令の改正

https://www.env.go.jp/press/files/jp/114829.pdf

 

プラスチックの輸出に関するバーゼル法該非判断基準

https://www.env.go.jp/press/files/jp/114830.pdf

 

該非判断基準

バーゼル条約の改正附属書では、規定が下記の通りニつに分かれ、該非判断基準もこの規定に沿って定められています。

 

1. 複数のプラスチック樹脂の混合がないもの

原則として以下のA~Dの条件を満たすものは規制の対象外とされています。なお、規制対象外であるためには、A~Dの条件を満たすことが外見から確認できることが必要とされています。

 

A:飲食物、泥、油等の汚れが付着していないこと

B:プラスチック以外の異物が混入していないこと

C:単一のプラスチック樹脂で構成されていること

D:リサイクル材料として加工・調整されていること

 

2. 複数のプラスチック樹脂(PE,PP,PET)の混合があるものの該非判断基準

PE,PP,PETからなるプラスチックの廃棄物の混合物は、ペットボトルのボトル、キャップ、ラベルの混合物を想定した規定となっています。判断基準として、以下のA〜Cの条件を全て満たすものを規制対象外としています。なお、規制対象外であるためには、A~Cの条件を満たすことが外見から確認できることが必要とされています。

 

A:分別され、ボトル、キャップ、ラベル以外のプラスチック樹脂や異物を含まないこと

B:洗浄され、飲料や泥等の汚れが付着していないこと

C:裁断され、フレーク状になっていること

 

規制対象外となるプラスチックの例

(下記に該当しても、何らかの理由により汚れの付着や異物の混入があれば、「規制対象外」とはなりません。)

 

▼ペレット状のプラスチック

▼フレーク状又はフラフ状かつ、ほとんど無色透明又は単一色のプラスチック

▼製品の製造工程等から排出されるシート状、ロール状、又はベール状のプラスチック

▼インゴット状の発泡ポリスチレン(PS)

▼ペットボトル由来のプラスチックの規制対象外の判断例

画像:環境省

 

さいごに

バーゼル条約の規制対象物資に「プラスチック廃棄物」が追加された事によって、日本から海外にプラスチック廃棄物を輸出する際に、規制対象になるか否かの判断基準についてご紹介いたしました。こうしてみると、基本的には汚れがなく既に加工されている、もしくはリサイクルに適しているプラスチックは規制の対象外であるということが分かります。これを機に、事業所から排出される廃棄物の現状を確認されてみてはいかがでしょうか。

 

改正バーゼル条約とプラスチックごみの輸出規制について、前編と後編に分けてお伝えしてきました。皆さまのご参考になりましたでしょうか。今後も廃棄物や資源に係る最新情報をお届けしてまいります。どうぞお楽しみに!

 

 

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この記事を書いたアナリスト

サティスファクトリー編集部

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