生物多様性 - 消費から共創へ転換できるか | 環境問題解決企業、サティスファクトリー
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環境 2022.03.21

生物多様性 - 消費から共創へ転換できるか

ギリシア・ローマ、と聞いて思い浮かべる典型的な風景は、

白い石造りの巨大な建造物が立ち並ぶ様ではないでしょうか。

私たちが美しいと感じるそれは一方で、廃墟の風景でもあります。

 

例えば現在トルコにあるエフェソスは、かつて20万人の人口を誇り、

その豊かな都市に一人一人の生活がありました。

しかし、上流域の森林伐採が進むにつれ物流拠点の河口港が土砂に埋もれ、

まちは衰退し、今では人が住まない「遺跡」となっています。

 

現代においても、人間活動が環境破壊の大きな原因となり、

地球規模で人間自身の生活をも脅かす要因となっているのは周知の事実です。

生物多様性にも、その様子は如実にあらわれています。

 

国際自然保護連合が2021年12月に更新した『IUCNレッドリスト』では、

全評価種の27%以上にあたる40,000種以上が絶滅危惧とされ、

生物多様性が失われる速度は増しています。

その原因と環境破壊の原因には共通点が多く、

生物多様性は人間活動を持続していくための指標と捉えることも出来ます。

 

好むと好まざるに関わらず、食・健康・安全など人間活動の基盤は、

自然の恩恵なしには成立しません。

その恩恵をただただ享受し続けるのか、恩恵に値する行動へと舵を切れるのか。

そのために企業が出来ることは何なのか。

 

このような視点で本レポートを作成しました。

ぜひご覧ください。

 

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1.劣化する生物多様性、進まない対策

 <受けている恩恵と保全の取り組みとの間に大きなギャップ>

  • 人間の生活は生態系サービスに支えられているにも関わらず、日本の生物多様性は劣化し続けている
  • 日本は2008年に生物多様性基本法を公布したが、期限・罰則はなく企業による取組みの優先度は低い
  • 2021年、SDGsの達成度・進捗状況に関する国際レポートにおいても、生物多様性に関わる項目の達成状況は「深刻な課題がある」とされている。

 →企業による自主的な取組みが求められる

 

2.多様な企業の参画により生物多様性保全を目指す

 <日本企業が保全の新しい流れを創る『企業と生物多様性イニシアティブ』>

  • 多様な企業による情報共有・共同研究・対話の促進により、真に生物多様性保全に貢献することを目指して2008年に設立された。現在、正会員企業は31社、ネットワーク会員企業18社。
  • 企業と生物多様性の関わりを可視化する「企業と生物多様性の関係性マップ」を研究・開発している。
  • 2021年の環境省評価によると、直接要因への方策は生物多様性の損失緩和に寄与するが、回復させた実績はない。効果的介入が必須とされる間接要因は、企業活動と密接に関わる分野である。

 →生物多様性保全・回復を実現するための在り方とは

 

3.空間軸・時間軸を広げた企業ビジョンの構築を

 <企業活動の背景にある“既成枠”をいかに超えるか>

  • 産業構造の変化、人々の自然に対する関心、生産と消費といった間接要因へのアプローチは根本的な社会変革を意味するが、これまで注目されてこなかった。
  • 自然資本を活用した自立・分散型の自然共生社会への移行の重要性を認知・共有し、実現を目指す。
  • 生物種の「一人勝ち」を防ぐ仕組みが生態系バランスを保つ鍵であるとの研究結果がある。企業にも空間的・時間的な繋がりを前提条件に据えたビジョン構築および行動が望まれる。

 →生物多様性の共創実現に向かえるかが今問われている

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この記事を書いたアナリスト

サティスファクトリー編集部

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