夏と言えば海!様々なレジャーで海を目一杯楽しめる季節ですね。
そんな海を取り巻く大きな問題の一つといえば、「プラスチックごみ」です。プラスチックはとても便利で扱いやすいものです。しかしその裏では、多くの海洋生物に悪影響を及ぼしています。
今回はその中でも、近年話題となっている「マイクロプラスチック」に着目し、海鳥に迫る危機についてお伝えします。
直径5mm以下の小さなプラスチックごみを指します。1970年代に存在することが確認されており、2015年の調査では51兆個ものマイクロプラスチックが世界の海を漂っているという結果が出ています。
ペットボトルやレジ袋が海を漂ううちに、紫外線や波力で劣化し細かくなったものの他、汚れを落とすためのスクラブ剤として洗顔料や化粧品などに含まれている「マイクロビーズ」が発生源です。
この「小さい」という特徴が、海洋生物にとって非常に大きな問題となっているのです。
では、マイクロプラスチックがどんな影響を及ぼしているのか、海鳥の事例から見てみましょう。
海鳥は潮目(しおめ)に集まる魚を餌としています。しかし、この潮目は漂流物が集まる場所でもあります。そのため海鳥は餌を食べる際に、一緒にマイクロプラスチックを誤飲しています。特に海面から餌を得るアホウドリやミズナギドリの胃から、多くのプラスチックが発見されています。
ひな鳥にも影響が出ています。親鳥は、胃の中に入った食べ物を吐き出して子供に与えますが、このときにプラスチックも一緒に与えてしまいます。ミッドウェイ環礁では、調査したコアホウドリのひなの97%が、プラスチックを摂食していたという結果が出ています。
(Plastic ingestion by Laysan Albatross chicks on Sand Island, Midway Atoll, in 1994 and 1995)
「プラスチックからプランクトンの匂いがする」という、なんとも不思議な理由からです。
ミズナギドリ目の海鳥は,臭覚が発達しており,プランクトンの居場所を匂いで見つけています。磯と同じ香りである硫化ジメチル(DMS)は、バクテリアをプランクトンが分解する事によって発生します。「磯の香り=プランクトンが多く、それを餌とする魚も多い」ということで海鳥も餌を求めて集まりやすくなります。
しかし、プラスチックには大量のバクテリアが付着しており、このバクテリアもまた、DMSを生成します。そのため、マイクロプラスチックをプランクトンと間違えて食べたり、魚を獲る際に海水ごと一緒に掬って飲み込んでしまう確率が高くなるのです。
マイクロプラスチックを食べた海鳥はどんなリスクを抱えるのでしょうか。
誤飲によって消化管が詰まって胃潰瘍などの機能不全に陥ります。また、プラスチックが消化されず胃に留まり、お腹がいっぱいだと錯覚して食べなくなり餓死へと至ります。さらに、プラスチックを食べることで、毒性のある化学物質を体に多く取り入れる恐れもあります。
このように生物に悪影響を及ぼすマイクロプラスチックは、廃棄物問題だけではなく、生態系にも影響を及ぼします。では、この問題を解決するにはどうしたらよいのでしょうか?
私たちにもできることはあります。
まずは、「ごみはきちんと処分する」という事です。
皆さんはきちんと分別したり、ごみ箱へ捨てていますか?日本において、適切に捨てられたプラスチックごみはリサイクルされたり、固形燃料に生まれ変わります。
その場では、何事もない「ぽい捨て」も海に流れつき動物の口に入っています。ごみを捨てる時、「ごみはどこにいくのか?」少しだけ考えてみてください。
次に、マイクロプラスチックの元となる「プラスチックごみを出さない」ということです。
具体的には、
・エコバッグの使用
・シャンプーや化粧品は詰め替えて使う
・ペットボトル飲料をむやみに買わない
・コンビニ弁当を買わずに自分で弁当を作ってみる
これらの活動を、一度は耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか?塵も積もれば山となる、一人一人の些細な行動が海辺のごみを減らし、やがて生物の保全にも繋がっていくはずです。
プラスチックの海 「海洋マイクロプラスチックとは?その発生源は?」 (2018年7月13日)
・プラスチックの海 「『磯の匂い』がするプラスチックごみに騙されるアホウドリ」 (2018年7月8日)
・プラスチックの海 「海鳥のヒナはプラスチックごみを知らずに誤食している」 (2017年8月31日)
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