昨年7月、中国全土で一部の資源ごみの輸入禁止計画が発表され、
昨年末より実行されることになりました(※)。
※中国国務院「海外ごみの輸入禁止と固形廃棄物輸入管理制度改革の実施計画」(2017年7月18日)
その影響は、早くも日本だけでなく世界各地に広がっています。
2016年の中国へ輸入された資源ごみは、廃プラスチックだけで700万トン以上あります。
その中には適切にリサイクルされなかったり
輸出国の分別が不十分であることも少なくありません。
ごみを出す側、受け入れる側双方の原因により中国国内で自然環境や、
人体への健康被害を引き起こしています。
このような背景から、中国国務院は資源ごみの輸入への政策を計画、実行に至りました。
貿易統計によると、2016年の日本での廃プラスチック輸出の約5割、
古紙輸出の約7割は中国向けでした。
中国の計画発表後、各国は早急な対応を迫られました。
日本においても、対中国廃プラスチック輸出量は
2018年1月には前月比1/12の2000トンにまで減少してます。
しかし、資源ごみ自体の排出量が減ったという訳ではありません。
中国への輸入ができなくなった分は、他国へ輸出しているのが現状です。
廃プラスチックを中心に分析すると、資源ごみの受入れ国の中心は、中国から東南アジアに移り変わっています。
国際リサイクル機関によると、ベトナムやインドネシアへの資源ごみの輸入量は前年の60%以上も増加しており、
東南アジアの他にはインドなどへの輸入も増加しています。
これらの国の特徴は、
・廃棄物処理に関わる人件費の安さ
・中国の近接性
以上が挙げられます。
中国への資源ごみ輸入業者が代替輸入先にこれらの国を選んでいることが予想されており、
今後中国の規制が厳しくなればなる分、
東南アジアを中心とした国々への輸入の増加が見込まれています。
大量に資源ごみを輸入している国々では、
違法に輸入されたものや、不適切な処理により悪臭などの被害も出ています。
ベトナムでは、こうした状況から資源ごみの輸入を一時的に制限する措置を講じており
今後本格的に乗り出す見方もあります。
また、タイでは今年6月に電子廃棄物と廃プラスチックの輸入禁止を決め、
違法に輸入された資源ごみは輸出国へ送り返されています。
今後も資源ごみ輸入各国の規制の強化は、避けられないのではないでしょうか。
中国の資源ごみ輸入禁止計画により、浮き彫りになった資源ごみの輸出入問題。
輸入国の環境悪化、人的被害も大きく、
今後はますますごみの排出者責任が厳しく問われることになるかもしれません。
ごみを減らすことに加えて、ごみの排出者自身が、
自分の出すごみがどの様なフローでリサイクル・処理されているか知ることが課題であり、
様々な被害の改善に繋がるのではないでしょうか。
“海外ごみの輸入禁止と固形廃棄物輸入管理制度改革の実施計画”,国务院办公厅(2017年7月18日)
http://www.gov.cn/zhengce/content/2017-07/27/content_5213738.htm
“迷えるごみはどこへ行く(中国)一部資源ごみ輸入禁止を受けて”,JETRO (218年4月11日)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/013284e98573d0f8.html
“電子廃棄物密輸阻止へ本腰=日本からも流入、汚染に懸念-タイ”, 時事通信ニュース (2018年6月22日)
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