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2018.10.03

プラスチックの成分と人体への影響

プラスチックごみは化学物質の宝庫

『身近に潜むプラスチック問題』では、
「プラスチックに含まれる化学物質がただちに人体に影響を及ぼすことはない」という見解について少し触れました。

しかし果たして、本当に私たちに害がないと考えて良いのでしょうか。
今回は、「プラスチックの海」というプラスチック問題について扱っているサイトの
「海のプラスチックごみは化学物質のカクテル」という記事をもとに
プラスチックの成分について着目し、実態や考えられる懸念点についてお伝えします。

問題視される添加剤

「添加剤」とは、プラスチックを製造する過程で加えられる化学物質のことです。
劣化を抑える「安定剤」、柔軟性を与え加工しやすくする「可塑剤」など、
プラスチックには様々な添加剤が使用されています。

一部の添加剤は、生物に対して内分泌撹乱物質(環境ホルモン)※として作用したり、
発がん性があると考えられています。
※環境中に存在する化学物質のうち、生体に対して異常なホルモン作用を起こすと考えられている物質。

ここではその中でも話題に上がりやすい、
「フタル酸」と「ビスフェノールA」について簡単にご紹介します。

下のグラフは、2017年に生産された「可塑剤」の成分の割合です。

可塑剤の生産量に占める成分の割合(2017)
出典:フタル酸系、アジピン酸系/可塑剤工業会,リン酸系、エポキシ系/経済産業省生産動態統計 塩ビ工業・環境協会, 2017年

フタル酸とは?

フタル酸とは?

フタル酸はプラスチックに柔軟性を与え加工しやすくする、
「可塑剤」として使用されている化学物質です。
床材やレインコート、食品・衣類の梱包材など様々な製品に使用されています。
可塑剤の総生産量のうち82%と大部分を占めており、使用頻度の高い物質です。
※画像はイメージです

フタル酸とは?

フタル酸とは?

1940年代から研究が進められ、現段階では、
人体には急性毒性や内分泌撹乱作用はないとされています。
一方で、ミジンコを用いた実験では急性毒性がみられ、
げっ歯類(ラットやマウス)においては肝腫瘍や精巣萎縮が確認されています。
 
人体には問題がないと考えられている理由は、
「体内に入った後に起こる作用がげっ歯類とは異なる」からです。
しかし、この結果を受け、欧米と日本ではおもちゃなど、
幼児向け用品へのフタル酸エステル類の使用が禁止されているのも事実です。
※画像はイメージです

ビスフェノールAとは?

ビスフェノールAとは?

食器や文房具などに使用される
「ポリカーボネート」の原料となったり、
衣類やバッグ、おもちゃなどに使用される
「ポリ塩化ビニル(ソフビ)」の「可塑剤」として添加されます。
※画像はイメージです

このままプラスチックを使い続けて良い?

このままプラスチックを使い続けて良い?

こちらも、低濃度で発がん性や、
生殖機能を損なわせる内分泌攪乱作用があることが
動物実験で確認されています。

2018年2月14日に欧州委員会は、特定の食品接触材および製品に含まれている
ビスフェノールAの規制を強化する文面を発行しました。
食品に接触するプラ製品、特に、哺乳瓶など乳幼児の食に関わる製品に関して
ビスフェノールAの使用が規制されました。
 
このような添加剤は水中でプラスチックから溶出します。
添加剤の疎水性がとても高い場合には、海を漂流している間に溶出しきらず、
プラスチックに留まったまま、あらゆる所に拡散してしまいます。
(ビューローベリタスジャパン, 「EUにて、食品に接触する材料および製品に含まれるビスフェノールA(BPA)規制が強化されます」)

このままプラスチックを使い続けて良い?

研究結果を踏まえると、
現在のところ、確かにプラスチックの成分はただちに
人に対して深刻な影響を及ぼさないと考えて良いのかもしれません。
一方で、幼児向けの製品においては使用の禁止や規制が進められています。

プラスチックに限りませんが、化学物質は過剰に使用すると有害物質となり得ます。
現在、環境中に溶出している添加剤はまだ人体にとって許容量かもしれません。
しかし、積もり積もっていずれ健康に影響を及ぼす可能性も捨てきれないのです。

「プラスチックの使用を抑える」という近年の取り組みは、
ごみを減らすだけでなく、有害な物質を環境中に拡散しないためにも重要となりそうです。

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プラスチックの海「海のプラスチックごみは化学物質のカクテル」, 2017年11月29日,

ビューローベリタスジャパン「EUにて、食品に接触する材料および製品に含まれるビスフェノールA(BPA)規制が強化されます」, 2018年3月29日

塩ビ工業・環境協会「フタル酸エステルの安全性情報」

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