飲食店や工場で排出された廃油は、産業廃棄物として処分しなければならないと法律で定められています。
しかし、ひとくちに廃油といっても種類は様々。
中には特別管理産業廃棄物や有害物質のPCBを含むものもあるため、取り扱いに注意しなければなりません。
この記事では、廃油の種類や処理方法と併せて、再資源化や取り扱い時の注意点などを解説します!
「廃油をどう処分すべきかわからない」「廃油の取り扱い方を知りたい」という方は参考にしてくださいね。
1.廃油とはどんな廃棄物?
飲食店、食品工場、製造工場…etc。
事業活動によって生じた使用済の油は廃油と呼ばれ、産業廃棄物に該当します。
産業廃棄物とは、事業活動に伴って発生した廃棄物の内、廃棄物処理法で定められた20品目のこと。
このうち“あらゆる事業活動に伴うもの(12品目)”は業種を問わず産業廃棄物となり、“排出する業種が限定されるもの(7品目)”は該当する業種から排出した場合のみ産業廃棄物として扱われます。
今回ご紹介する廃油は“あらゆる事業活動に伴うもの(12品目)”に該当します。
そのため廃油を排出する際には、業種に関わらず全ての事業者が産業廃棄物として法律で定められた正しい方法に則り扱わなければなりません。
産業廃棄物を収集運搬・処分できるのは「産業廃棄物収集運搬業許可証」や「産業廃棄物処分業許可証」を得ている業者のみ。
もし許可を得ていない業者に委託してしまった場合は、依頼主である排出事業者が5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、あるいは両方を科されるので、業者選びには気を付けましょう。
なお廃油は引火性を持つ場合があるため、廃掃法や消防法で保管・運搬に関するルールが定められています。
産業廃棄物の場合、処理責任を問われるのは排出事業者。
法律に違反しないよう、廃油を産業廃棄物として排出する際には注意が必要です。
2.産業廃棄物として排出されることの多い廃油
主に、産業廃棄物として排出されることの多い廃油の種類は以下の通りです。
■鉱物性油
石油を原料としている油。潤滑剤やクリーム、ローションの原料としてよく使用されています。
■動物性油
牛脂やラードなど、動物から抽出された油。自然発火しやすいため細心の注意を払わなければなりません。
■植物性油
菜種油やオリーブオイルなど植物から抽出された油。自然発火しやすいため注意が必要です。
■廃溶剤
使用済みの液体。主に石油や油脂工業などから排出されます。
一括りに廃油といっても種類は様々。
また、上記の他にも、洗浄油やタールピッチなども産業廃棄物として排出されることが多いです。
3.主な処理方法。再生利用量・減量化量・最終処分量の比率
廃油は主に、再生利用・減量化・最終処分のいずれかの方法で処理されます。
しかし、現状最終処分の割合は極めて少なく、廃油の大半が再生利用か減量化されています。
環境省が令和4年に発表した報告書によると、令和2年度に排出された廃油は45%が再生利用され、54%が減量化、1%が最終処分されました。
参照:令和3年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書(環境省)
3-1.再生利用
廃油は、がれき類や金属くずなど他の品目と比べるとリサイクル率の低い産業廃棄物に分類されますが、年間総排出量の4割近くがリサイクルされています。
リサイクル方法は廃油の種類により異なります。
主に廃油再生処理工場で油水分離や遠心分離を行い、再生重油として製品化したり、バイオディーゼル油や石鹸の原料として利用したりといった方法で再生利用されることが多いです。
3-2.減量化
廃油はリサイクル率が低い反面、減量化率が高いという特徴もあります。
令和2年度における廃油の年間排出量は3,249千トン。
環境省の発表によるとそのうち54%を減量化しています。
3-3.最終処分
再生利用できない廃油は、減量化→焼却処分→埋め立ての順番で最終処分されます。
使用する焼却炉は廃油の発熱性によって様々。
発熱量が大きい廃油の焼却には固定床炉やロータリーキルンが使用されます。
また、発熱量が少ない廃油は流動床炉が主に使用されます。
焼却処分が終わったら、廃棄物処理法の処理基準に則り埋め立て処分されます。
4.廃油の再資源化
廃油を再生利用する際には、燃料として製品化されるか、他の原料として再生されることが多いです。
<燃料として再利用する場合>
エンジンオイル系の廃油など、リサイクルに適しているものは再生重油として製品化されます。
製品化するためには、まず廃油再生処理工場にて油水分離や遠心分離などを実施。
様々な工程を経て、水分やエンジンの燃えカスであるスラッジを除去し、再資源化されます。
<他の原料として再生される場合>
廃食用油は、他の原料として再生することも可能です。
例えば、廃食用油にメタノールと触媒を加えグリセリンを除去して精製することで、バイオディーゼル油(重油の代替燃料)として再生できます。
また、廃食用油は苛性ソーダと反応させて加水分解を起こし、石鹸の原料として再生されることもあります。
5.特に注意しなければならない廃油
冒頭にて廃油は引火性を持っている場合もあると解説しましたが、中には燃えやすい性質のものや、有毒性のある物質を含んでいるものもあるため取り扱いには気を付けなければなりません。
廃油の中でも特に取り扱いに注意が必要なものは、以下の3つです。
▶引火点が70℃未満で燃えやすい油
灯油類や軽油類といった引火点が70℃未満で燃えやすい油は“特別管理産業廃棄物”に分類されます。
特別管理産業廃棄物とは、爆発性・毒性・感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずる恐れのある性状を有する廃棄物のこと。
通常の産業廃棄物よりさらに厳しい規制が設けられており、事業者自らが特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、資格を持つ業者に収集運搬・処分を委託しなければならないと定められています。
▶古い絶縁油
古い絶縁油には、食中毒や発がん性など健康に影響を及ぼす可能性のある“PCB“が含まれる場合があります。
PCBとは、Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、ポリ塩化ビフェニル化合物の総称。
食中毒や発がんなど健康に悪影響を及ぼすことや生活環境に係る被害が生じる恐れがあると判明したため、昭和47年以降PCBの製造・新たな使用は禁止されています。
ですが、いまだにPCBを素材に使用している製品は処理しきれていません。
そのため、古い絶縁油の取り扱いには注意しましょう。
▶特定の有機塩素化合物を含む廃油
特定の有機塩素化合物を含む廃油は引火性廃油と同様に、特別管理産業廃棄物に分類されます。
先述したように、特別管理産業廃棄物は人の健康や生活環境に被害を生じさせる恐れがあるため、取り扱いには注意しなければなりません。
6.サティスファクトリーでは、廃油や産業廃棄物に関するお悩みに幅広く対応
産業廃棄物の1つである廃油は、引火性を持っている場合があるため取り扱いには注意が必要です。
廃掃法や消防法で保管・運搬に関するルールが定められており、万が一間違った方法で保管・運搬すると環境面へ影響を及ぼす可能性があります。
また、廃油の中には燃えやすく特別管理産業廃棄物に該当するものや、健康に悪影響を及ぼすPCBを含んでいるものなどもあるため、保管・運搬する際には細心の注意を払いましょう。
サティスファクトリーでは、廃油のリサイクルや処理コストの削減に関する幅広いご相談にお応えします。
見積から回収手配まで、短期間かつ適正コストでお客様のご要望にお応えできるよう努めています。
産業廃棄物や廃油の処理についてお悩みを抱えている方は、ぜひ一度サティスファクトリーにご相談ください!
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