2018年10月19日、環境省がプラスチック資源循環戦略の素案を提示しました。
素案では海洋プラスチック問題、中国のプラごみ輸入規制や、
日本が世界で2番目にプラスチック排出量が多いことを踏まえ、
2030年までに排出量を25%減らすという具体的な削減目標が初めて提示されました。
その中で特に注目されているのは、
小売店に対する「レジ袋有料化の義務づけ」が検討されていることです。
レジ袋有料化の義務づけは2020年以降、
コンビニやスーパーなど小売業を対象に検討されています。
レジ袋に価値をつけることで消費者の意識を変化させることが目的です。
義務化に向けての具体的な方法についてはまだ議論中ですが、
「コンビニやスーパー、経団連などと水面下での話し合いを進めており
「明確に反対しているところはない」(環境省担当者)。」
(日本経済新聞,レジ袋有料化、コンビニも対象 環境省が素案提示 ,2018/10/19)
という情報もあり、いずれほとんどの小売店でレジ袋が有料となると考えられます。
また、食品などのプラスチック包装や
ペットボトルの減量・分別やリサイクルを図る法律である、
「容器包装リサイクル法」の改正も案として挙げられています。
レジ袋の有料化について話題になっているとはいえ、
以前から自主的に取り組んでいる企業や自治体も多く見られました。
イオンやイトーヨーカドーなど大手スーパー各社は
2000年代からレジ袋を有料で提供しています。
では、なぜ今話題となっているのでしょうか。
その理由は「コンビニに対しての有料化が検討されたから」だと考えられます。
今までコンビニ業界では、「競合チェーンに顧客を奪われる」という理由から
レジ袋の有料化が進んでいませんでした。
現在、国内で年間約300億枚のレジ袋が使用されると推測されていますが、
そのうち3割をコンビニにおける使用量が占めています。
今後コンビニで有料化が義務づけされることで、大幅に使用量が削減されるのではないでしょうか。
また、自治体によっては条例やキャンペーンでレジ袋削減の取り組みを推進しています。
例えば、東京都杉並区では2008年にレジ袋有料化を推進する条例を設けました。
その結果、2015年度時点でエコバッグの持参率がスーパーで平均34.3%となっており、
3割の買い物客がエコバックを持参していることが分かります。
(杉並区公式ホームページ,レジ袋削減状況)
また、神奈川県ではレジ袋有料化のみならず
エコバッグ所持者への値引きや追加ポイントの付与などを小売店に推奨し、
レジ袋削減に積極的に取り組む店舗を「特定店舗」
レジ袋削減に積極的に取り組む地域を「モデル地域」として活動をPRしています。
(環境省, 容器リサイクル法レジ袋に係る調査(平成28年度))
このように今までも様々な活動が行われてきましたが、
環境省が具体案を提示したことで、企業や自治体の活動は
より迅速に、かつ活発になっていくと考えられます。
上記の杉並区の例に限らず、レジ袋の有料化は良い結果を出しています。
イオングループでは2017年度に約27億3542万枚のレジ袋を削減し、
レジ袋辞退率は64.8%という結果が出ています。
(イオン, 買物袋持参運動)
また、様々な国で有料化の対策が既に立てられており、
オランダでは2016年に袋1枚当たり34円程度を課したところ、
4割の削減効果があったとされています。
以前から本トピックス(マイクロプラスチックと海鳥 等)
にてご紹介していますが、プラスチック使用量の削減は海洋ゴミを減らすために重要です。
海外よりもスタートは遅れてしまいましたが、
身近な存在であるレジ袋の有料化が義務付けられることで、
日本でもプラスチックに対する意識が高まってくることが予想されます。
きっと将来、一人ひとつずつエコバッグを持ち歩くのが当たり前になります。
あなたも早速今日から取り組んでみませんか?
alterna online, セブン-イレブン、レジ袋有料化検討:コンビニで初, 2018年10月3日,
環境省,中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会(第3回) 議事次第・配付資料 プラスチック資源循環戦略(素案),
日本経済新聞, レジ袋有料化、コンビニも対象 環境省が素案提示, 2018年10月19日,
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36683740Z11C18A0EA2000/
会社案内
サティスファクトリーの会社案内です。
廃棄物マネジメントを中心に事業詳細や事例をご紹介します。