食品廃棄物の排出抑制や、食品循環資源の再生利用を促進するために制定された“食品リサイクル法”。 この記事では食品リサイクル法の概要や制定された背景と共に、目標と現状、対象となる食品廃棄物、違反した際の罰則を解説します。 「食品廃棄物の問題を解決するための方法について知りたい」という方や、「食品リサイクルなどに興味はあるが、何から始めればいいかわからない」という方は必見です!
そもそも食品リサイクル法とは、製造や卸売など食品関連事業者に食品廃棄物の排出抑制や食品循環資源の再生利用などを促進するための法律です。
正式名称は“食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律”で、2000年に制定されました。
食品リサイクル法では、食品の製造加工業・卸売業・小売業・外食産業などに向けて、食品廃棄物の発生抑制と減量化により最終的に処分される量を減少させるとともに、食品循環資源の再生利用等を促進するよう呼び掛けています。
参照:食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の概要(農林水産省)
食品リサイクル法が制定された理由には、近年特に問題視されている“食品ロス”が関係しています。
食品ロスとは、食べ残し・売れ残り・賞味期限切れなどにより、食べられる状態で廃棄される食品のこと。
これはただもったいないというだけでなく、廃棄物量の増加により地球環境にも影響を及ぼすとして世界的に問題視されています。
ちなみに、2023年(令和5年)6月に消費者庁が発表した食品ロス削除関係参考資料によると、2021年における日本の1年間の食品ロスの量はなんと約523万トン!
日本人1人当たりの食品ロス量は1年で約42kgとされており、日本人1人が毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てているのと近い量といわれています。
このような食品ロスの深刻化を受け、状況を改善するために食品リサイクル法が制定されました。
参照:令和3(2021)年度食品ロス量推計値の公表について(消費者庁)
食品ロスとは(農林水産省)
冒頭にて食品リサイクル法では食品循環資源の再生利用等を促進するよう呼び掛けていると解説しましたが、食品廃棄物を再生利用する際には以下のように優先順位が設けられています。
発生抑制 → 再生利用 → 熱回収 → 減量
まずは食品廃棄物そのものの発生を抑制し、次の段階として再生利用を実施します。
再生利用には様々な手法がありますが、その中でも次のような優先順位があります。
【優先順位】
①飼料化、②肥料化(メタン化発酵廃液等の肥料利用を含む)、③油脂・油脂製品化、④メタン化(発酵廃液を肥料利用しない場合)、⑤エタノール、⑥炭化(燃料および還元剤など)
再生利用が難しい場合は焼却されますが、熱回収も条件を満たせば再生利用として認められます。
【条件】
再生利用できる施設が半径75km圏内に存在しない場合、回収される熱もしくは電気の量が1トン当たり160MJ以上(廃食用油は1トン当たり28,000MJ以上)の場合
なお熱回収が難しい場合、廃棄物をスムーズに処分できるよう脱水・乾燥・発酵・炭化などが行われます。
具体的に、食品関連事業者全体に向けて、以下のような再生利用等の実施率の目標が掲げられています。
【2024年度(令和6年度)までの再生利用等実施率の目標】
食品製造業95%、食品卸売業75%、食品小売業60%、外食産業50%
【2021年(令和3年)における再生利用等実施率状況】 ※2022年(令和4年)発表
食品製造業96%、食品卸売業70%、食品小売業55%、外食産業35%
食品製造業は目標を達成しているものの、その他の業界は目標を達成できていません。
参照:令和3年度食品廃棄物等の年間発生量及び食品循環資源の再生利用等実施率(農林水産省)
定期報告が始まった2008年度と比べれば大きく変化していますが、2024年度までの再生利用等実施率の目標を達成するためには、まだまだ努力が必要です。
食品リサイクル法は、全ての廃棄物が対象となっているわけではありません。
食品リサイクル法第二条において、食品や食品廃棄物として定義されているのは以下の通りです。
この法律において「食品」とは、飲食料品のうち医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品以外のものをいう。
2 この法律において「食品廃棄物等」とは、次に掲げる物品をいう。
一 食品が食用に供された後に、又は食用に供されずに廃棄されたもの
二 食品の製造、加工又は調理の過程において副次的に得られた物品のうち食用に供することができないもの
出典:平成十二年法律第百十六号 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律
つまり、対象となる食品廃棄物は次の通りとなります。
■製造工程で発生した食品の加工残さ
■食品の流通過程から発生した売れ残り
■飲食店で排出された調理くずや食べ残し …etc
例えば、一般家庭から排出された調理くずや食べ残しは食品リサイクル法の対象とはなりません。
最後に、食品リサイクル法の罰則をご紹介します。
罰則の対象となるのは、食品廃棄物を年間100トン以上排出している事業者です。
該当する業者は以下のポイントに気を付けましょう。
6-1.報告義務を怠った・虚偽の報告をした場合
・対象事業者は、業種別再生利用等実施率や多量発生者に対する発生量、再生利用量等を報告しなければならない
・報告を怠った場合や、虚偽の報告をした場合は20万円以下の罰金が科せられる
6-2.再生利用等の実施を十分に行わなかった場合
・対象事業者は、再生利用等の実施を積極的に行わなければならない
・十分に行わなかった場合には、勧告・公表の後、命令が下される
・もし命令に違反した場合には、50万円以下の罰金が科せられるため注意が必要
地球温暖化、資源の枯渇、最終処分場の利用状況の逼迫…etc。
近年では上記のような問題発生により、世界的にも環境保全への意識が高まってきました。
いまや循環型社会へ向けた環境への配慮は重視されており、企業の取り組みも評価につながる時代です。
環境保全のためにも企業の今後を考える上でも、廃棄物の排出量削減やリサイクルの推進などといった“循環型社会へ向けた環境への配慮”は欠かせません。
ぜひ、これを機に食品廃棄物の問題や食品ロスの削減についてあらためて考えてみてはいかがでしょうか?
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