「どんなごみが動植物性残さ(動植物性残渣)に該当するの?」 「動植物性残さは産業廃棄物として扱うべき?それとも一般廃棄物?」 「事業活動で生じた動植物性残さの処理コストを抑えるためにはどうすればいい?」 そんなお悩みを抱えている方々へ向けて、この記事では動植物性残さの分別や、産業廃棄物として扱う必要がある業種について徹底解説! 併せて、近年の排出量や再利用率、再資源化方法、その他の処理方法を詳しくご紹介します。
まず、動植物性残さ(動植物性残渣)の概要について解説します。
動植物性残さとは、特定の業種で原料として使用された動物性または植物性の固形状態の不要物。
具体的に食品製造業や香料製造業などで排出された動物や魚の皮・貝殻・羽毛・野菜くず・油かすが該当。
しかし“動物性または植物性の固形状態の不要物=動植物性残さ”というわけではありません。
排出する業種や事業内容によって、産業廃棄物と一般廃棄物のどちらとして扱うか判断が異なります。
そもそも産業廃棄物とは、事業活動に伴って発生した廃棄物のうち廃棄物処理法で定められた20品目の廃棄物のこと。
燃え殻や汚泥、廃油、廃プラスチック類などの様々な種類のごみが該当しますが、中には業種によって分別が異なる場合もあるため注意が必要です。
産業廃棄物に該当する20品目のうち、“あらゆる事業活動に伴うもの(12品目)”は業種を問わず産業廃棄物となります。
一方で“排出する業種が限定されるもの(7品目)”は、該当する業種から排出した場合のみ産業廃棄物として扱われます。
今回この記事でご紹介する動植物性残さは、“排出する業種が限定されるもの(7品目)”のひとつ。
つまり、同じ動物性または植物性の固形状態の不要物を排出する場合でも、業種によって産業廃棄物とみなされるかは異なるため注意しましょう。
具体的に、動植物性残さ(動植物性残渣)を産業廃棄物として扱わなければならない業種は次の通りです。
①食品製造業
②香料製造業
③医薬品製造業
上記で挙げた業種以外から排出された動植物性残さ(動植物性残渣)は、事業系一般廃棄物とみなされます。
そのため、たとえば同じ魚の皮を排出する場合でも、どこで発生したかによって処理方法は異なります。
食品製造工場で発生した際は産業廃棄物として、飲食店で調理くずや食べ残しとして発生した際は事業系一般廃棄物として処理しなければなりません。
動植物性残さは、動物性残さと植物性残さの2種類に分かれていて、以下のような廃棄物が該当します。
<動物性残さ>
動物や魚の皮・肉・骨・内臓・アラ、卵の殻、貝殻、羽毛…etc
<植物性残さ>
野菜くず、果実の皮・種子、大豆かす、コーヒーかす、酒かす、油かす、発酵かす、醸造かす、薬草かす、あめかす、のりかす…etc
※発酵かすや醸造かすと一緒に排出される液状の廃棄物は、動植物性残さには分類されません。
上記で挙げた動植物性残さは、腐敗しやすいためなるべく早く処理しなければなりません。
長時間放置してしまうと害虫や悪臭が発生する恐れがあるため、事業所内での管理が難しい場合は産業廃棄物の処理業者に依頼しましょう。
続いて、近年に動植物性残さの排出状況を紹介します。
令和4年に環境省が発表した産業廃棄物の排出及び処理状況等の報告によると、令和2年度に排出された動植物性残さの総量は2,429,000トン。
令和元年度の総量は2,426,000トンだったため、去年に比べて約3,000トン増加しました。
これだけを見ると膨大な量に思えますが、動植物性残さはリサイクル率が高い産業廃棄物でもあります。
環境省の報告によると、令和2年度に排出された動植物性残さのうち、59.9%は再生利用されました。
参照:産業廃棄物の排出及び処理状況(令和2年度速報値)(環境省)
前項にてリサイクル率の高さをお伝えしましたが、主に以下のような方法で再資源化されています。
動植物性残さを微生物に分解させて、メタンを主成分としたバイオガスを発生させる再資源化方法。
メタンを主成分としたバイオガスは発熱量が高く、ガスエンジンや発電設備の燃料などに活用できます。
動植物性残さを加工して、動物の飼料を作り出す再資源化方法。
異物の除去や品質維持が必要ですが、これができれば産業廃棄物の減量や飼料自給率の向上に繋がります。
動植物性残さを微生物に分解・発酵させて、肥料に作り替える再資源化方法。
肥料には農地などの土を活性化させる効果があるため、近隣で農業を行っている場合に好まれる方法です。
また、他の方法と比べて比較的簡単に再資源化できるのが特徴的です。
リサイクル率が高い動植物性残さですが、中には再資源化に適していない状態のものもあります。
再資源化が難しい場合には、以下の方法で処理されます。
その名の通り、動植物性残さを焼却して処理する方法。
焼却処分の際には、委託先の焼却施設が動植物性残さの焼却に対応しているか確認する必要があります。
動植物性残さは、管理型最終処分場で埋め立てられる場合があります。
管理型最終処分場とは、遮断型最終処分場でしか処分できない有害な産業廃棄物以外が埋立処分される場所。
動植物性残さや廃油(タールピッチ類)といった低濃度の有害物質と生活環境項目の汚濁物質を発生させる廃棄物を扱っているため、ゴムシートなどによる遮水工と浸出水処理施設等が設置されているのが他の最終処分場との違いです。
他にも安定型と遮断型という2種類の最終処分がありますが、処分場によって扱える廃棄物は異なります。
記事内でもご紹介したように、動植物性残さは排出する業種によって分別が異なるため取り扱いには要注意。
“動物性または植物性の固形状態の不要物=動植物性残さ”というわけでないことを覚えておきましょう。
また、動植物性残さはリサイクル率が高いのも大きな特徴です。
バイオガスや飼料、肥料として再資源化できれば、廃棄物の減量やコスト削減に繋がります。
現在動植物性残さを処理している企業の方は、ぜひこれを機に再資源化を検討してみてはいかがでしょうか?
サティスファクトリーでは、リサイクル方法の提案から業者の手配まで、
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全国対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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