みなさん、「食品ロス削減推進法案」をご存知ですか?
今国会中に成立する見通しのある新しい法案で、
食品ロス削減を目指すため、自治体や事業者への責務を明確としているものです。
食品ロス削減はSDGsにも具体的な目標として記載されており、
世界中の誰もが意識しなければならない社会問題です。
(SDGsとは?基本についてはこちら )
食品ロス削減法案の制定に関しても、
「法制定がSDGsの達成に役立つとしている。」
と議連が表明しており、SDGsが私たちの生活に深く関わる社会になってきました。
(SankeiBiz, 食品ロス削減「国民運動に」超党派議連が法案骨子, 2019年1月22日)
今年2月、節分の恵方巻き廃棄問題をニュースやSNSで見聞きした方も多いのではないでしょうか?
数年前までは、この件に関して大々的に取り上げられることはありませんでした。
段々と世の中に食品ロスを問題視する人が増えてきているのかもしれません。
以前より当トピックス内にて食品ロスについて記事を掲載してきましたが、
ここで改めて現在の日本における現状についてまとめます。
(過去のトピックスはこちらから )
食品ロスとは「食べられるのに捨てられてしまっている食品」を指します。
日本における食品ロス量は年間646万トン(平成27年度)となっており、
内、事業系廃棄物が約357万トン、家庭からは約289万トンと大差ない割合となっています。
事業者からの食品ロスには規格外品、返品、売れ残り、食べ残し、
そして食品流通業界の慣習である「3分の1ルール」が大きく関わっています。
☆ 3分の1ルール…製造日から賞味期限までを三分割し、先の3分の1までを小売店への納品期限、
次の3分の1までを消費者への販売期限とする。
この期限を過ぎたものの多くは食べられるにも関わらず廃棄されてしまう。
3分の1ルールに関しては既に農林水産省が事業者に向けて見直しを呼びかけ、
実際に改善している企業が数社紹介されています。
(参考:農林水産省, 食品ロス削減に向けた加工食品の納品期限の見直しについての通知文書,2017年5月9日)
また、先に述べた恵方巻き問題は、多く納品し過ぎて売れ残ってしまうケースで、
仕入れ側が消費者の需要を把握できていないと起こってしまいます。
そして、全体の45%を占める家庭からの食品ロス。
一家庭ごとの廃棄は少量でも、塵も積もれば山となるというように、
全体でみると事業者から発生する食品ロスと同程度排出されてしまっています。
その理由は食べ残しや過剰除去(野菜の皮を厚く剥きすぎたりする事)、
直接廃棄(買っても調理せずに捨ててしまう事)のためです。
日本の食料自給率は38%(平成29年度)で、残りを海外からの輸入に依存しています。
貴重な食料にも関わらず、毎日大型(10トン)トラック1,770台分を廃棄しており、
資源を無駄にしてしまっているのが現状です。
(参考:消費者庁消費者政策課, 食品ロス削減関係参考資料(平成30年6月21日版))
実は以前から各省庁による取り組みが存在していました。
いずれも強制力のあるものではありませんが、食品ロス削減に積極的な自治体や事業者にとって
とても有力な情報やアイデアが共有されています。
・NO-FOODLOSS PROJECT (農林水産省)
農林水産省が「国民運動」として推進している活動です。
食品メーカー、スーパー、レストラン、家電メーカーなど
食品に関わる団体とのコラボを呼びかけており、食品ロス削減を目指しています。
飲食店で使用できるような啓発ポスターなどを配布しており、
食事をしてもらいながら意識を促せるようになっています。
(参考:農林水産省, 「NO-FOODLOSS PROJECTの
推進について~食べものに、もったいないを、もういちど。~」, 平成26年3月)
・フードバンク活動 (農林水産省)
製造工程で発生した規格外商品を引き取り、福祉施設や生活困窮者に無料提供する
「フードバンク活動」を積極的に支持しています。
また、この活動については食品ロス削減推進法案でも取り上げられており、
内閣府に新たに設置される「食品ロス削減推進会議」においても
支持される事が決定しています。
(参考:農林水産省, 「フードバンク」)
・食品ロスポータルサイト(環境省)
昨年10月に開設された、食品ロスについての情報をまとめたサイトです。
消費者向け、自治体向け、事業者向けに実態や削減目標を掲載しており、
あまり食品ロスに詳しくない人でも簡単な概要を知る事ができます。
(環境省, 「食品ロスポータルサイト」)
食品ロス削減推進法案が成立すると、これまでは食品ロス削減を
重要視していなかった団体にも影響を与える事になるはずです。
このような既存の活動や情報からヒントを得る事も、
食品ロスを削減していく上でとても重要となります。
SDGs(持続可能な開発目標)にも食品ロスについて具体的な目標(ターゲット)が存在します。
・目標12.3 つくる責任 つかう責任
「2030年までに小売・消費レベルにおける
世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、
収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。」
また、目標12に関わらず食品ロスについて様々な観点から考えることができます。
例えば…
目標2 飢餓をゼロに
→期限切れ前のものは廃棄せずに流通させる。
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう
→「3分の1ルール」の見直し、需給を分析するためのツールの導入。
目標14 海の豊かさを守ろう
→仕入先が乱獲をしていないか調査する、料理を残さずに食べる。
突き詰めればどの目標にも繋げられると思います。
そして考えてみると案外、個人でも取り組めそうな
アイデアがたくさん生まれます!
「話題のSDGsの考えを取り入れたいけれど、
具体的な活動やアイデアは思い浮かばない…。」
という方も多いかと思います。
しかし、無理にSDGsに絡める必要はありません。
また、難しく考えなくても大丈夫です。
食品ロス削減のためにできることを少し考えてみました。
①自分や周りの食べきれる量を把握する。
→ 作りすぎ、注文しすぎにより残してしまう事を防ぐことができる。
歓迎会の多いこの時期、少し意識するだけで食品ロスを削減できます。
②冷蔵庫の余り物で料理を作ってみる。
→ 廃棄する食べ物を減らし、なんと家計にも優しい!
調べればレシピサイトにアイデア料理が多数載っています。
③ドギーバッグやフードシェアリングアプリを使ってみる。
→ 飲食店の余りを持ち帰り、家で好きな時に食べられるようにする。
事業者の方はフードシェアリングアプリとの提携を考慮してみる。
☆こちらも合わせてお読みください
「国内のフードシェアリングアプリ」, 2018年09月26日
「海外の食品ロスに対する取り組み」, 2018年10月19日
以上のように、まずは身の回りで取り組めそうなことを考え、調べてみる事が大切です。
そうすれば自然とその活動をSDGsに繋げていけるはずです。
最後に、当社における食品ロス削減に関する取り組みの一部をご紹介します。
・映画「0円キッチン」の上映会開催
→ 「八丁堀映画倶楽部」の第一回上映会にて、食品ロスをテーマとした映画を上映致しました。
ちなみに、この映画は上記の「NO-FOODLOSS PROJECT」とタイアップしています!
・規格外野菜の販売
→2018年10月、一般財団法人フードサルベージ主催の「キッチンキャンパス」内にて、
スーパーには通常出荷されない、規格外野菜を販売しました。
(「産直野菜“WILD VEGETABLE” マルシェ開催!, 2018年11月2日」)
食品ロスはCSRやSDGsの活動の一環として、取り組みやすいテーマと言えるでしょう。
まずは身の回りで取り組めることがないか考えてみませんか?
・SankeiBiz「食品ロス削減「国民運動に」 超党派議連が法案骨子」,2019年1月22日,
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190122/mca1901220500002-n1.htm
農林水産省, 「NO-FOODLOSS PROJECTの 推進について~食べものに、もったいないを、もういちど。~, 平成26年3月・消費者庁消費者政策課,食品ロス削減関係参考資料,2018年6月21日版,
http://www.jora.jp/25_syokuhin_sien/pdf/140326kouen_shiryou02.pdf
・消費者庁消費者政策課,食品ロス削減関係参考資料,2018年6月21日版
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