ここ最近、「ZOZOTOWN」の前澤友作社長の月旅行計画、
ブラックホールの撮影成功など、宇宙に関するニュースが話題に上がっていますね。
ところで、皆さんは「宇宙ごみ」という言葉を聞いたことはありますか。
宇宙ごみは「ごみ問題」の一つで、字の通り地球外の宇宙上にある、ごみの事を指します。
ごみ問題の中でもポイ捨て問題や不法投棄よく耳にしますが、
日常生活では聞きなれない“宇宙ごみ”について、今回は取り上げていきたいと思います。
環境問題という大きなカテゴリー「公害系」「自然系」「その他」に分かれ、
その中でごみの問題は「公害系」に属する社会問題です。
ごみ問題はさらに4つに大分されるのですが、そのうちの一つに宇宙ごみがあります。
宇宙ごみは「スペースデブリ」とも言い、ロケットや壊れた衛星の破片が主です。
宇宙を周回している人工衛星の数はおよそ1400基。
一方スペースデブリは、10センチ以上の大きさのものだけで2万3000個以上あります。
小さいデブリは正確な数は分かりませんが、1億個とも1兆個ともいわれています。
スペースデブリは秒速7~8キロで飛んでおり、例えるなら弾丸の20倍ほどのスピード。
そのため、衝突すると豆粒ほどの小さな物体でも、金属に穴を開けるほどの威力です。
スペースデブリは昔から宇宙業界が抱える課題の一つでしたが、衝突することはごくまれでした。
しかし、2009年に起こったアメリカとロシアの人工衛星の衝突事故がきっかけで、
より重大な課題として問題視され始めました。
その理由は、この事故によって衛星の残骸が新たなスペースデブリになり、一気に数が増えたためです。
スペースデブリ同士が衝突すれば、数はさらに増えていきます。
このまま放置してしまうと、その数はネズミ算式に増えてしまいます。
今年の3月27日にインドが行ったミサイルによる人工衛星破壊実験では、
少なくとも400個以上の宇宙ごみが発生したといいます。
ISS(国際宇宙ステーション)に衝突するリスクは過去10日間で44%増加したそうです。
この事をNASA長官は「環境破壊行為」とも言い換えています。
【参考】
engadger 日本語版 “NASA、インドの人工衛星破壊はISSへのリスクを44%増すと推定。「人間の宇宙飛行とは両立しない」”
・https://dentsu-ho.com/articles/4508
増え続けている、スペースデブリですが、その問題点は大きく分けて3つあります。
①宇宙にある機器の損害
衛星放送、天気予報、GPSの情報、船舶や飛行機、農漁業の管理など、あらゆるシーンで衛星の観測情報が活用されています。
しかし、スペースデブリが衝突することで、これらがある日突然使えなくなってしまう可能性があります。
②宇宙計画の中止
小さなスペースデブリで地球が覆われ、地球低軌道を横切れなくなってしまい、
月面基地構築や火星探査などの宇宙計画が出来なくなってしまう可能があります。
近年、地球以外の星で暮らす未来が現実味を帯びてきていますが、実現不可になってしまうでしょう。
③地球への落下
人工衛星が大気圏に再突入する際、ほとんどは燃え尽きます。
しかし稀に、地上まで残骸が落下することがあります。
人的被害を与える事は稀ですが、スペースデブリ落下による死亡事故や建物の破損やそれによる被害も過去に存在します。
そのため、スペースデブリの数が増えていくほど、被害件数が増える危険性が考えられます。
【参考】
・Gigazine “宇宙ゴミによって通信衛星やGPSが破壊され生活が1970年代に逆戻り、宇宙開発が全てストップする可能性がある
https://gigazine.net/news/20181127-end-of-space/
・engadger 日本語版 “史上初の「隕石による死者」発生?インドで4人死傷の報告”
https://japanese.engadget.com/2016/02/09/4/
JAXAではスペースデブリの問題について、4つの方面から解決に取り組んでいます。
①スペースデブリを出さない
・ロケットや衛星などの機体から分離される部品を削減
・運用終了後に爆発して大量の破片を発生させないよう燃料を使い切る
②スペースデブリを除去
・役割を終えたロケット上段や衛星の軌道を変え、安全に大気圏に再突入させる
・デブリ除去衛星の推進
③スペースデブリと機器の衝突を防ぐ
・デブリ予測精度を高めるための研究
④国際的なルール規定
・スペースデブリ低減ガイドラインの規定
・宇宙活動に関する国際行動規範の作成
【参考】
JAXA “スペースデブリ問題の解決に向けて ~宇宙の環境を守るために~”
http://www.jaxa.jp/projects/feature/debris/index_j.html
社会問題になりつつあるスペースデブリですが、
世界でただ1社、スペースデブリの除去に取り組む会社が日本にあります。
その会社は、株式会社アストロスケール(設立2015年)。
そのスペースデブリの除去方法とは、ハエ取り紙のような粘着剤でくっつけるという方法です。
軽くて宇宙でも使える粘着剤を搭載した捕捉衛星を開発しました。
この捕獲衛生の優れている点はなんといってもその軽さです。
粘着剤の重さはわずか200グラム程度。軽いことで作製コストが低く、量産化が可能です。
この画期的な捕捉衛星は世界でも注目され、ハーバード・ビジネス・スクールの教材に企業事例として採用されました。
来年(2020年)には、デブリ除去衛星を打ち上げる計画だそうです。
【参考】
株式会社アストロスケールHP
・https://www.j-startup.go.jp/startups/005_astrosocale_japan_inc.html
電通報 ”世界でただ1社、宇宙ゴミに挑む日本のベンチャー”
・https://dentsu-ho.com/articles/4508
・産経新聞 「宇宙ベンチャーのアストロスケール 米国拠点を開設 INCJなどから総額33億円調達」
https://www.sankei.com/life/news/190411/lif1904110006-n1.html
宇宙ごみのこと、そしてその危険性についてはあまり知られていませんが、
実は私たちの生活に宇宙は密接に関わっています。
ですから、私たちの生活の安全を保つためにも、宇宙ごみの問題を解決することはとても重要です。
環境問題は、今注目されている地球温暖化の他にも様々な問題があります。
その多くは、私たち人間の行いによるものと明らかになっています。
環境問題が引き起こす弊害によって、苦しんでいる人や生物が存在します。
現状の問題を知り、真摯に受け止め、行動をしてくことで環境は改善できるはずです。
少しでも...いや、少しだけとは言わず、
最大限の良い環境を未来の子供たちに、そして全ての生き物たちに残してあげたいものですね。
engadger 日本語版 “NASA、インドの人工衛星破壊はISSへのリスクを44%増すと推定。「人間の宇宙飛行とは両立しない」”
JAXA “スペースデブリ問題の解決に向けて ~宇宙の環境を守るために~”
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