調布市は、多摩エリアの東部にある市で、武蔵野の自然が残りつつも東京23区に接しているため交通の便が良いことが特徴です。都心に近くも、住環境の整った地域であるためベットタウンとして人気をあつめ、人口は年々増加しています。
今回は、この調布市で暮らすにあたって欠かせない、ゴミの分別・排出ルールについて解説します。事業系のゴミ処理についても言及するため、調布市で事業を始めようと考えている方も必見です。
まずは、調布市のゴミ処理事情について見ていきましょう。 調布市の廃棄物は、平成30年時点で約6万トンです。これは平成29年度と比較して14トン減少しています。9年前の平成21年から見れば、1,500トンほど減少しています。減少しているゴミの量はそれほど大きくはありませんが、人口がこの9年間に約21.6万人から、約23万人にまで増加していることを考慮すると、1人あたりの排出量は大きく減少していると言えるでしょう。
それでは、調布市のゴミ減量の取り組みを具体的にご紹介します。
調布市では、簡単にゴミに関する情報をチェックできるようにスマートフォンで利用できるアプリを配信しています。各地域に設定されているゴミ収集日のカレンダーや、ごみ分別辞典・ごみの出し方などを確認できます。さらに、ゴミ出しの時間を設定できるアラート機能などもあります。 ゴミに関する問い合わせも、アプリ内で行えるため手間も時間も節約することも可能です。 便利なこのアプリを使えば、いちいちゴミの分別ルールパンフレットやネットを確認する必要はありません。
調布市では、燃やせるごみ・燃やせないごみについて、調布市指定収集袋を使用する必要があります。市の指定収集袋の指定がある自治体は多いですが、調布市では少しでもゴミを減量させるために、小さいサイズのゴミ袋が割安になるように設定しています。これは、ゴミの減量が節約につながるようにして、ゴミの排出量を抑制するための取り組みです。ただし、1リットル当たりの料金は調布市の近隣自治体と同じ水準であるため、大きな袋を買ったからといって、損するわけではありません。
調布市のゴミ袋は、燃やせるごみS~LL・燃やせないごみがS~LLとそれぞれ5種類が10枚1組で用意されています。ただし、LLサイズのみ1枚ずつのばら売りがされています。燃やせるごみの収集袋はオレンジ色、燃やせないごみの収集袋は青色をしているため、購入時は見た目で判断できます。 一般的には、月に各家庭で500円程度負担することとなります。ただし、消費税が8%から10%に引き上げられてもゴミ袋の値段は変わりません。
燃やせるごみ 燃やせないごみ |
容量 | 1セット(10枚) |
---|---|---|
S | 5リットル | 84円 |
M | 15リットル | 273円 |
L | 30リットル | 556円 |
LL | 45リットル | 840円 |
それでは、一般家庭から出されるゴミ・資源の処理方法をご紹介します。一般家庭から出るゴミ・資源もしっかりと分別しないと、回収してもらえない可能性があります。また、これからも住みやすい街を維持するためには、各家庭の正しい分別・排出は欠かせません。 一般廃棄物と粗大ゴミに分けて見ていきましょう。
家庭から出る一般廃棄物は、収集時間に関わらず、朝8時までに出すことが決まっています、収集場所は、戸建て住宅なら道路に面した敷地内、集合住宅なら敷地内の排出場所など、指定されているため確認が必要です。 指定収集袋を使用していないと回収されないため、事前に必ず購入しておきましょう。
■燃やすごみ
燃やせるごみは週に2回の回収があります。
対象となる廃棄物は、生ごみ・枝・草・葉・おむつ・生理用品・革製品・ゴム類などです。生ごみはよく絞って、水気を切ってください。食用廃油は、紙・布に染み込ませたうえで排出してください。
基本的に燃やせるごみは指定収集袋の購入が必要ですが、枝・草・葉は無料で排出することができます。おむつも透明・半透明に袋におむつと表記して出すか、指定のおむつ袋に入れて、無料で出せます。
■燃やせないごみ
燃やせないごみは2週間に1回の回収があります。
対象となる廃棄物は、金属類・ガラス類・陶器類・小型家電製品・傘などです。包丁や割れたコップはなど、危ない物は紙や新聞紙を包んだうえで、「キケン」と指定収集袋に貼ってください。
小型家電を出す場合は、乾電池を抜いて排出してください。
■有害ごみ
有害ごみは、2週間に1回の回収があります。
対象となる廃棄物は、蛍光灯・乾電池・水銀入りの体温計・ライター・スプレー缶・カセットボンベ・モバイルバッテリー・加熱式タバコを含む電子タバコなどです。
ライター・スプレー缶・カセットボンベについては、使い切ってから出してください。
これらの有害ごみは、無料で排出することができます。出すときは、袋に入れず、カゴやバケツに入れてください。
■容器包装プラスチック
容器包装プラスチックは、週に1回の回収があります。
対象となる廃棄物は、お菓子の袋・トレイ・発泡スチロールなど、のプラマークのついたものです。
プラマークのついた容器包装プラスチックは、無料で排出することができます。
排出時は、汚れを洗い流してから、透明・半透明の袋に入れてください。
■古紙
古紙は、週に1回の回収があります。
対象となる廃棄物は、新聞・雑誌・本・ダンボール・雑紙などです。古紙は無料で排出することができます。感熱紙・カーボン紙・写真・紙コップ・洗剤の箱・汚れや油のついた紙などは回収の対象ではありません。
排出の際は、新聞・雑誌・ダンボールはひもで縛ってください。縛れない雑紙などは、紙袋に入れるか・チラシの間にはさんで出しましょう。
■古布
古布は、週に1回の回収があります。
対象となる廃棄物は、衣類・タオル・毛布・シーツ・カーテンなどです。枕やカーテン・布団は回収の対象外です。
古布は無料で排出することができます。排出時は、濡れないよう透明・半透明の袋に入れてください。雨の日には排出できないため、注意が必要です。
■ビン
ビンは、週に1回の回収があります。
対象となる廃棄物は、ジュースやお酒などの飲料用ビン・ジャムや調味料用など食用ビンです。
ビンは無料で排出することができます。排出時は、袋に入れずに、カゴ・バケツ・コンテナを利用して出しましょう。
■カン
カンは、週に1回の回収があります。
対象となる廃棄物は、ジュースなどの飲料用カン・缶詰などの食用カンです。
カンは無料で排出することができます。排出時は、カゴ・バケツ・コンテナを利用して出しましょう。
■ペットボトル
ペットボトルは、2週間に1回の回収があります。
対象となる廃棄物は、飲料用ペットボトル・食用ペットボトルなど「PET」マークのついたものです。
ペットボトルは無料で排出することができます。排出時は、袋に入れずに、カゴ・バケツ・コンテナに入れて出しましょう。
■シュレッダーごみ
シュレッダーごみは、週に1回の回収があります。収集日は、各地域のビン収集日と同じです。
シュレッダーごみも無料で排出することができます。透明・半透明の袋に入れて排出してください。
■牛乳パック類
牛乳パックは、拠点回収であるため、戸別・集合住宅別の回収はありません。
購入先のスーパーなどに設置回収ボックス、福祉センターや児童館などにアルバム回収ステーションに出しましょう。
対象となる廃棄物は、牛乳・ジュースなどの紙パックです。排出時は、水ですすぎ、切り開いてから、十分に乾燥させておいてください。
粗大ごみは、布団・たんすなど1辺が40センチメートル以上の大型廃棄物を指します。ただし、テレビ。冷蔵庫・エアコン・洗濯機などリサイクルが法律で定められている製品は粗大ごみとはなりません。粗大ごみの廃棄は有料・申し込み制となっているため、事前予約が必要です。
粗大ごみは基本的に回収を予約します。回収・廃棄の予約は、東京都の広域の粗大ごみ収集受付をしている「粗大ごみ受付センター」で行ってください。受付絵時間は、インターネット予約であれば24時間、電話は月曜から土曜日の午前8時から午後7時までです。ただし、年末年始は除きます。
粗大ごみには、それぞれ処理手数料が設定されています。この手数料は、調布市特定廃棄物処理券を購入することで支払います。処理券は、315円・630円の2種類があるため、設定されている手数料になるように組み合わせて購入してください。さらに、購入した処理券に「収集日」「氏名または受付番号」など必要事項を記載したうえで、粗大ごみに貼付して排出する必要があります。 粗大ごみに設定されている手数料は、「調布市ごみリサイクルカレンダー」もしくは、粗大ごみ受付センターの調布市のページから確認ができます。
また、粗大ごみは、クリーンセンターに持ち込むこともできます。持ち込みも回収予約と同様に粗大ごみ受付センターで申し込みを行ってください。そして予約日には、調布市クリーンセンターに粗大ごみを持ち込んでください。 持ち込み時は、処理手数料は搬入量10キログラムごとに300円となっています。この場合は、特定廃棄物処理券は使用できません。
続いては、事業活動から出される廃棄物の処理について見ていきましょう。事業活動とは、一般企業・個人商店を含む店舗・工場・ホテルなどによる事業、学校や福祉施設の公共サービスなどが含まれます。この事業活動において排出される廃棄物は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第3条」や「調布市廃棄物の処理及び再利用の促進に関する条例第9条」によって”事業者自らの責任で適正に分別・保管・処理しなければならない”ことが決まっています。これは排出事業者責任と呼ばれ、処理や保管基準の厳守や適正な契約の締結、各書面の交付なども詳細に義務付けられています。
しかし、排出事業者が全責任をもって処理しなければならない事業活動によって発生した廃棄物は、「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けられており、正しい保管・処理方法が異なります。適正な廃棄物処理ができない事業者には、罰金・懲役刑や行政処分などの罰則が設けられており、事業者は社会的信用を保つためにも必ず適正処理を行うことが必須です。 当項では、事業系廃棄物・産業廃棄物それぞれについて、処理方法の概要を確認してください。
調布市では、事業系一般廃棄物の処理は、原則調布市が許可を出した「一般廃棄物収集運搬業許可業者」に収集・運搬に依頼する必要があります。一般廃棄物収集運搬業許可業者は、調布市のホームページから一覧が確認できます。
また、調布市では、一部のゴミはその他2種類の方法で処理することができます。 1つ目は、ふじみ衛生組合「クリーンプラザふじみ」に燃やせるごみを持ち込み、有料で廃棄してもらう方法です。直接も落ち込む場合は、10キログラムあたり350円の支払いが必要です。
2つ目は、少量排出事業者が対象の、調布市による収集に申し込む方法です。ただし、対象は、燃やせるごみ・燃やせないごみ・容器包装プラスチックのみです。少量排出事業者とは、1回の排出で「調布市事業系一般廃棄物指定収集袋」3袋までのゴミを排出する事業者です。依頼する場合は、収集を依頼したい廃棄物の種類・排出場所の見取り図など必要事項を「事業系一般廃棄物の収集・運搬・処分に関する申出書」に記載して、市に提出してください。その後、緑色の「調布市事業系一般廃棄物指定収集袋」を購入します。収集日当日は、朝の8時までに指定の収集場所に排出しましょう。
産業廃棄物は、燃えがら・汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・がれき類・金属くず・ゴムくずなど「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で定められた20種類の廃棄物のことを指します。一般廃棄物の廃棄の管轄は各市区町村であるため、一般廃棄物処理業者は調布市が認可を出していました。しかし、産業廃棄物は、都道府県単位で管轄しており、産業廃棄物処理業者も調布市の場合は東京都が許可を行っています。
産業廃棄物の保管や運搬・処理を業者に依頼する場合、排出事業者と産業廃棄物処理業者は産業廃棄物管理票(マニフェスト)に処理工程や担当者など詳細な情報を記載する必要があります。さらに、この産業廃棄物管理は最終的に東京都に提出しなければならないため、必要な情報は漏れなく記載することが欠かせません。
さらに注意が必要なのが、産業廃棄物の廃棄までの工程が明確に定義されている点です。排出された廃棄物は、発生後「分別・保管」「収集・運搬」「再生」「中間処理」および「最終処分」の流れで処理・処分されます。産業廃棄物業者はこれらの工程ごとに認可を受けているケースも多く、委託する業者が委託業務の許可を受けているのかを必ず確認しなければなりません。許可を受けていない業者への発注は、不認可業者だけでなく発注側も罰せられる可能性があります。
再利用や再生ができない廃棄物は、最終処分場で処分されますが、日本の最終処分場の残余容量は年々減少しており、全国的にみればあと17年余りでなくなる予定となっています。環境問題・最終処分場が足りないという問題も含め、事業者のゴミ減量に向けた取り組みが求められています。
今回は、調布市のゴミ事情から、家庭ゴミ・事業系廃棄物の出し方についてご紹介しました。調布市はゴミの分別とゴミ減量に向けた取り組みを積極的に行い、成果を挙げてきました。 詳細なごみ・資源の分別やゴミ袋の購入に対して、敬遠する気持ちになりがちですが、今後も住み良い地球環境・調布市を維持していくためには、正しい分別は欠かせません。調布市では、ゴミの減量と節約を同時に行えるように、さまざまなサイズのゴミ袋を用意して、市民全体の参加を促しています。一方で、一家庭ゴミと比べて多量の廃棄物を出す事業者は、それだけ適正な分別・処理の責任も重くなるため、ゴミを減量しつつ法に沿った廃棄をしなければなりません。 そのためには、まず調布市・市民・事業者それぞれが、協力し合うことが重要です。
※当記事は公開当初の情報に基づき執筆しております。(最新の情報は行政HPをご確認ください。)
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