稲城市は、多摩地区の南に位置する、人口9万人程の小さな市です。多摩ニュータウンの一地区であり、都心のベッドタウンとして住宅街が広がっています。自然も多く、治安も良いため、ファミリーや女性の一人暮らしでも安心して生活できることもあり人気があります。
今回は、稲城市で生活するのに欠かせない、ゴミ・資源といった廃棄物の分け方・出し方を紹介します。
まずは、稲城市でどのくらいゴミが排出されているか見てみましょう。稲城市では、ゴミの減量と環境保護に努めているため、市民にもゴミを減らす意識が求められています。
稲城市では、2003年に約1.64万トンの家庭ごみが収集されていました。このゴミ排出量が、2010年に約1.49万トン、2018年に1.45万トンと減少してきました。2003年から2018年のあいだ、人口が約9,000人増加しているため、1人当たりのゴミ排出量は確実に減少しています。2003年の1日1人あたりのゴミ排出は606グラムでしたが、2018年には440グラムとなりました。
稲城市では、今後もゴミ量を抑制するために、下記のような取り組みが行われています。
稲城市では、市内から収集された牛乳パックや古紙を100%利用して、再生トイレットペーパー「稲城っ子」を製造しています。再生トイレットペーパー「稲城っ子」は、市役所・学校などの公共施設で利用されているほか、市内の商店やドラッグストアなどで販売されています。
市民がしっかりと分別した古紙類を、再度家庭で有効に活用できるようにした取り組みです。
生ごみは、家庭から出る燃えるごみのうち約4割にのぼります。そのため、生ごみを減らすことで、大きくゴミを減らすことができます。
稲城市では、生ごみを家庭で処理できる「ごみ処理容器」の購入に際して、3,000~10,000円の助成が行われています。ごみ処理容器には、生ごみをたい肥にできる容器や、生ごみを酵素の力で消してしまう処理容器などさまざまな種類があります。助成金を受けるには、処理容器の購入前に、稲城市の環境課で「生ごみ自家処理容器購入申請書」を提出してください。
稲城市では、一部の廃棄物に対して指定収集袋を設定しています。指定収集袋の設定は、正しい分別の意識付けや、指定収集袋の節約のためにゴミの減量が促進される効果があります。ゴミが削減されれば、ゴミ処理や運搬に使われている税金を、その他の市民生活に役立てることもできます。
指定収集袋が設定されているゴミは、指定収集袋に入れなければ収集してもらえないため注意が必要です。指定収集袋は、市内の取扱店で、10枚1組で販売されています。一部店舗では、ばら売りも実施されています。
袋の色 | 特小袋(5リットル) | 小袋(10リットル) | 中袋(20リットル) | 大袋(40リットル) | |
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燃やせるごみ | 黄色 | 100円 | 200円 | 400円 | 800円 |
燃えないごみ | ピンク色 |
それでは、稲城市の家庭から出される廃棄物の分け方・出し方を確認していきましょう。家庭ごみは、ゴミ・資源からなる一般廃棄物と、粗大ごみに分けられます。それぞれ排出方法が大きく異なるため、分けて解説します。
家庭から出る一般廃棄物は、収集日の朝8時までに、指定の場所に出してください。一戸建ての場合は道路際の自宅敷地内に、集合住宅の場合は指定の集積所に出しましょう。
屋外にゴミ・資源を排出する場合は、カラスや猫が荒らさないように蓋つき容器に入れるか、対策ネットを利用してください。
燃えるごみ | 燃えるごみの収集は、週に2回あります。 燃えるごみには、生ごみ・写真・防水加工・感熱紙・シャンプーや洗剤などの容器類・柔らかいプラスチック・弁当やカップ面の容器・お菓子の袋・乾燥剤・保冷剤・食用油・プラマークがついた柔らかいものなどが該当します。 排出時には、黄色の指定収集袋に入れてください。生ごみを出すときは、水気をよく切ってください。食用油は、凝固剤で固めるか、紙・布にしみ込ませて出してください。 ただし、紙おむつに関しては、おむつが無料で排出できる「おむつ専用袋」を利用できます。配布対象者は、4歳未満の乳児・65歳以上の高齢者・障がい者手帳を持っている人に限られます。対象の場合は、市役所や保健センターで受け取りましょう。 |
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燃えないごみ | 燃えないごみの収集は、月に2回あります。 燃えないごみには、ガラス・陶磁器類・硬いプラスチック・傘・植木鉢・革製品・靴・ゴム製品・CD・小型の電化製品・ハンガー・電球・LED・剃刀の刃・油のついた缶やびん・プラマークがついたものなどが該当します。 排出時には、ピンク色の指定収集袋に入れてください。割れているガラス・陶磁器・剃刀の刃など、袋が破れるような鋭利なものは、紙や布で包んだうえで収集袋に入れて、「危険物有」と表記してください。 |
びん | びんの収集は、週に1回あります。 びんとして収集に出せるのは、飲料用・ジャム・インスタントコーヒー・化粧品などの容器びんです。薬のついたびん・花びんなどは、びんとしてではなく、燃えないごみに該当します。 排出する際は、中身を水洗いしておきましょう。袋には入れず、カゴに直接入れて出してください。びんの蓋は、不燃ごみの対象となります。 |
缶・ペットボトル | 缶・ペットボトルの収集は、週に1回あります。 缶として収集に出せるのは、飲料用・缶詰・菓子・ミルクの缶などです。油のついた缶・一斗缶・スプレー缶・カセットボンベなどは該当しません。 ペットボトルとして排出できるのは、飲料用・みりん類・醤油・めんつゆ・食酢・ノンオイルドレッシングなどのペットボトルです。ウォーターサーバー用のボトルは該当しません。 排出するときは、中身をよく洗ってからカゴに直接入れてください。ペットボトルは、キャップとラベルを外したうえで、つぶしておきましょう。 |
古紙 | 古紙の収集は、月に2回あります。 古紙には、新聞紙・段ボール・雑紙・雑誌・はがき・包装紙・書籍などが該当します。写真や感熱紙、シュレッダー紙などは、燃えるごみの対象となります。 排出する際は、品目ごとに十字に縛ってください。小さな雑紙は、雑誌にはさむか紙袋に入れて出すこともできます。 |
古布 | 古布の収集は、月に2回あります。 古布には、上着・下着・靴下・タオル・カーテン・シーツ・羽毛などが該当します。汚れが多いもの・綿入りのぬいぐるみ・キルティング製品・布団・絨毯などは該当しません。 古布を排出する場合は、透明もしくは半透明のビニール袋に入れてください。ボタンやファスナーは、取り除かずそのままにしてください。 雨にぬれるとリサイクルできなくなるため、できるだけ雨の日は避けて排出するようにしましょう。 |
有害物 | 有害物の収集は、月に1回あります。 有害物には、乾電池・ボタン電池・充電式電池・蛍光灯・スプレー缶・カセットボンベ・ライター・水銀を含む製品・電子シェイバーや電動歯ブラシなど電池が取り外させない小型電子機器が該当します。 排出の際は、品目ごとに分けて、透明または半透明のビニール袋に入れてください。ただし蛍光灯は、そのまま排出する、複数ある場合はひもで結んでください。電池類は、セロハンテープなど絶縁してください。スプレー缶・カセットボンベは、中身をすべて使い切り、穴を開けずに排出しましょう。 |
金属物 | 金属物の収集は、月に1回あります。 金属物には、鍋・フライパン・やかん・トースター・刃物・汚れていない一斗缶などが該当します。7割以上が金属でできて入れば金属物として出すことができます。釘・針金・ハンガーについては、燃えないごみの対象となります。 排出するときは透明もしくは半透明のビニール袋に入れてください。刃物類は紙や布に包み、袋に入れ、刃物が入った旨を表記しください。 |
稲城市の粗大ごみの回収は、有料の予約制です。一般廃棄物のように定期的な収集がないため、引越しなど排出する期限がある場合は注意しなければなりません。
稲城市の粗大ごみは、1辺が50センチメートル以上、3辺の合計が100センチメートル以上、重さが5キログラム以上のいずれかに当てはまる廃棄物を指します。具体的には、食器棚・ベッド・ギター・ステレオセット・カーペット・ガスコンロ・ふすま・ベビーカーなどが該当します。リサイクルが法律で定められているテレビ・冷蔵庫・洗濯機・タイヤ・バッテリ・レンガ・土砂・レンガなどは粗大ごみとして排出することができません。そのほか、消火器・ガスボンベ・医療用廃棄物なども排出できないため注意してください。
粗大ごみを処分したい場合は、粗大ごみ受付収集センターに電話して、収集日を決めましょう。受付時間は、祝日・年末年始を除く、月曜日から金曜日までの午前8時30分から午後5時までです。受付時間外は、FAXもしくはEメールでも申し込むこともできます。
予約時には、粗大ごみの種類や個数を伝えてください。受付収集センターからは、排出時に必要となる「稲城市粗大ごみ処理券」の種類・枚数・排出日が案内されます。収集日は希望を出すことはできますが、混雑具合によって必ずしも希望が通るわけでない点に留意しておきましょう。
収集日が決まったら、近くの稲城市粗大ごみ処理券取扱店で、処理券を購入してください。購入した稲城市粗大ごみ処理券に氏名を書いて、粗大ごみのわかりやすい所に添付して排出場所に出してください。
稲城市で事業を営んでいる場合は、事業活動によって発生した廃棄物の処理方法を必ず確認しましょう。事業活動とは、企業・店舗・ホテル・工場などの業務、学校や図書館などの公共機関での活動、NPO法人などの非営利組織なども該当します。
事業活動によって排出される廃棄物は事業系廃棄物として、排出事業者が適正に自己処理を行うか、自治体が認可した許可業者への委託処理をしなければなりません。事業系廃棄物には、業務によって発生する廃棄物のほか、従業員や客の出した残飯なども該当します。
排出事業者による適正処理は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称・廃棄物処理法/廃掃法)」によって「排出事業者責任」として義務付けられています。事業系廃棄物を適正に処理しなかった場合、罰金刑・懲役刑や行政処分が科せられる可能性があります。事業の信頼性にもかかわる点なので、しっかりと処理方法を確認してください。
事業系廃棄物は、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分けられるため、それぞれ確認していきましょう。
そもそも廃棄物は、産業廃棄物と一般廃棄物に分けられます。そのなかで、家庭から出る家庭系一般廃棄物と事業系一般廃棄物にさらに分けられています。一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物として定義されているため、家庭系・事業系の一般廃棄物の中身に大きな違いはありません。
ただし、先述の通り事業系一般廃棄物は、排出事業者によって適切に処理する義務があります。一般的に事業所内で法律に準じた自己処理施設を完備している事業者は少ないため、基本的には稲城市が営業許可を出した一般廃棄物収集運搬業者に処理を委託する必要があります。許可を受けた収集運搬業者以外に委託した場合、法律違反となり罰せられる可能性があります。委託するまえには、稲城市ホームページに記載されている最新の「稲城市一般廃棄物収集・運搬業許可業者」を確認してください。
一方、稲城市では小量しか事業系一般廃棄物を排出しない排出事業者に対しては、稲城市が代理で廃棄物を収集しています。市に収集を委託する場合は、1回の排出量が15キログラム以下の事業者に限られています。収集日は家庭ごみと同一ですが、事業用の指定収集袋を購入・利用する必要があります。
事業用の指定収集袋は、5枚1組で、下記の値段で販売されています。
袋の色 | 45リットル袋 | |
---|---|---|
燃えるごみ | 水色 | 1,450円 |
燃えないごみ | 茶色 |
家具・電気製品以外の資源は、事業所で使用していたものに限り無料で排出できます。市の収集対象外のゴミ・資源については、市の認可業者に委託しましょう。
産業廃棄物は、燃えがら・廃アルカリ・金属くず・繊維くずなど法令で定められた20種類の廃棄物を指します。そのほか、爆発性や危険性、人体や生活環境に影響を与える廃棄物「特別管理産業廃棄物」もあります。
一般廃棄物の処理や業者の認可の管轄は稲城市であるのに対して、産業廃棄物は東京都が管轄となります。そのため、処理する際は東京都が認可した産業廃棄物処理業者に委託する必要があります。産業廃棄物は東京都が持っているゴミ処理施設では処理できないため、少量の排出であっても東京都は代理収集を行っていません。
産業廃棄物の処理を委託する場合は、認可業者の区分や許可内容について、よく確認する必要があります。東京都の産業廃棄物を扱う認可業者は、収集運搬・中間処理と処理の段階、専門性(感染性を持つ産業廃棄物)を持つ業者か否かの2点から分けて認可が行われています。また、扱える産業廃棄物の種類や業務の範囲も定められています。許可の範囲外となる業務や品目を委託処理すれば、場合によって排出事業者が罰せられる可能性もあります。
業者の選定は、許可証や東京都環境局のホームページを参考に、認可の範囲や期限を丁寧に確認しましょう。
産業廃棄物の処理は、このほかにも数多くの規定が存在します。廃棄物処理法はもちろん、東京都の作成した産業廃棄物適正処理ガイドブックを参考に、正しい処理方法を確認しましょう。疑問がある場合は、東京都環境局の資源循環推進部産業廃棄物対策課もしくは、多摩環境事務所廃棄物対策課に問い合わせてください。
今回は、稲城市の家庭ごみ・事業系ごみの分け方や出し方を詳しく解説しました。稲城市は自然と人の生活が近く、その住みやすさが魅力の1つです。稲城市の環境を守り、住みやすさを保っていくためにも、行政と市民・事業者が一体となって、環境問題・ごみ問題に取り組むことが重要です。
紹介した内容を参考に、家庭ごみ・事業系ごみの正しい処理方法をしっかり守っていきましょう。
※当記事は公開当初の情報に基づき執筆しております。(最新の情報は行政HPをご確認ください。)
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