首都東京のなかでも、千代田区・中央区と並んで、都心3区に数えられている港区。麻布・赤坂・青山・六本木と全国に知られた地域をはじめ、ベイエリアにはお台場も有しています。新聞社や放送局・マスコミ関連の企業、各国の駐日大使館・外資系企業が多数立地しているため、港区は日本の中心的位置にあると言っても過言ではないでしょう。
今回は、そんな港区のゴミ事情から、ゴミ・資源の分け方・出し方のルールをご紹介します。これから港区に転居する方、引越して間もない方は、ぜひ港区の環境・ゴミに対する取り組みからルールまで確認してみてください。
まずは、港区の廃棄物収集量を見ていきましょう。港区では、平成16年度からのゴミの回収量の統計を港区ホームページで公開しています。
平成16年のゴミ回収量は約6.6万トンでした。リデュース・リユース・リサイクルの3Rの取り組みを進めたことにより、平成20年には約5.9万トンになり、平成29年には回収量が約5.4万トンにまで削減されました。平成16年の港区の人口は約16.6万人、平成29年の人口は約24.9万人であることを考慮すると、港区の3Rの取り組みは大きな成果をあげていると言えるでしょう。
港区では、3Rによって循環型社会の実現するための「3R推進行動会議」を、平成18年から開会しています。循環型社会を目指すためには、区民・事業者・区行政のそれぞれの協力が欠かせません。そのため、この3R推進行動会議では、区民・事業者・区行政それぞれからメンバーを出して、会議・取り組みを進めています。
活動は、事業者向けのセミナー・区民向けの学習会・3R推進イベント・パンフレット作成と、主に4つです。多方面に向けてコンスタンツに情報発信したり、3R推進活動をしたりすることで、区民・事業者の積極的な参加を促します。港区とは別にホームページも運営しており、活動の記録したり、積極的に3Rの情報も発信されています。
特に「3Rチャレンジ」と呼ばれる独自の取り組みが、ゴミの回収量削減につながっているのではないでしょうか。代表的な取り組みには、中古家具の展示販売を行う「家具のリサイクル展」、イベントやお祭りで使う食器を無料で貸し出す「リユース食器」、家庭でも作れる段ボールを使った生ゴミ処理「段ボールコンポスト」などがあります。
ここからは、一般家庭から排出されるゴミと資源に該当するもの、排出方法、排出時のルールをご紹介します。
家庭から出されるゴミ・資源は、各地域に指定された曜日の朝8時までに集積場に出しましょう。繁華街地域の場合は、朝の7時半と定められているため、注意必要です。
■可燃ごみ(燃やすごみ)
可燃ごみは、週に2回、回収があります。
該当するゴミは、生ゴミ・紙くず・皮革製品・ゴム製品・CD・DVD・汚れているプラスチック・衣類・少量の剪定枝や葉・食用油などです。
港区では、3Rの実現のため、生ゴミの水気をよく切ってからの排出を促しています。また、紙おむつは、汚物をトイレに流してから排出してください。食用油は、紙や布に染み込ませる、もしくは凝固剤で固めてから排出してください。
■不燃ごみ(燃やさないごみ)
不燃ごみは、月に2回、回収があります。
該当するゴミは、ガラス製品・金属類・アルミ類・陶磁器類・傘・スプレー缶・一斗缶・小型家電製品などです。
割れたガラス製品・陶磁器類や、鋭利な金属類・刃物などは、新聞紙などに包んだうえで「キケン」と表示して排出してください。蛍光灯・電球は、購入時のケースに入れるなど、割れないようにして出しましょう。
スプレー缶・カセットボンベ・ライターは、ほかの不燃ごみとは別の袋に入れて排出しなければなりません。また、中身を使い切ってから排出しないと、清掃車の火災原因となる可能性があるため注意が必要です。ただし、かんに穴を開ける必要はありません。
■資源:ペットボトル・びん・かん・古紙
資源となるペットボトルの回収は、週に1回で、PETマークがついたものが対象です。集積所のペットボトル用の回収ネットに入れます。排出時には、キャップとラベルを外して、中の汚れをすすいでください。ただし、油が入っていたボトルなど汚れがとれないものは、可燃ごみとして排出してください。
びん・かんは週に1回、回収されます。集積所に出す際は、びんは黄色いコンテナ、かんは青いコンテナに入れます。いずれも中身をすすいでから、さらにかんは潰しておいてください。
古紙は、週に1回、回収があります。古紙に該当する紙は、新聞紙・雑誌・段ボール・紙パック・そのほかの再生可能紙です。古紙はひもを縛ってから排出するよう定められていますが、菓子箱・はがき・トイレットペーパーの芯などの再生可能紙などは、紙袋に入れて出すこともできます。
■資源:プラスチック
資源として回収されているプラスチックは、週に1回、回収されます。排出できるプラスチックは、プラマークが付いているトレイ類、ビニール袋・キャップ類・チューブ類・緩衝材などが対象です。
トレイ類やカップ容器などは固形物を取り除いて、水ですすいだうえで排出してください。汚れが落ちないものは、可燃ごみに該当します。
港区の家庭から出る粗大ゴミは有料・事前予約制です。主に、一辺が30センチメートル以上の廃棄物が粗大ゴミに該当します。
回収の予約は、「粗大ごみ受付センター」で申込みます。粗大ごみ受付センターは、東京都内の大部分の粗大ゴミ回収の予約受付の窓口です。ただし、市区によって、処理手数料や回収に関するルールが一部異なるため港区では、港区のルールを確認することが重要です。
粗大ごみ受付センターでは、電話もしくはインターネットで回収の予約を受け付けています。メールの場合は、粗大ごみ受付センターから確認メールを受け取ったのちに、本申し込みを行います。24時間以内に、本申し込みをしない場合はキャンセルとなるため、注意が必要です。
申込が完了したら、港区の有料粗大ごみ処理券を購入しましょう。処理券は、A券200円・B券300円の2種類があるため、各粗大ゴミに設定された処理手数料の金額と合致するよう購入して、粗大ゴミに貼付しましょう。粗大ゴミに設定されている手数料は、粗大ごみ受付センター・港区のページから確認できます。回収を希望するゴミが粗大ゴミに該当するのか、わからない場合もこちらから確認すると良いでしょう。
回収当日は、朝8時までに指定の回収場所に出しましょう。一般ゴミの集積所と違う場所を指定されることもあるため、注意が必要です。有料粗大ごみ処理券には、受付時にもらう4桁の受付番号、もしくは名前を記入する必要があるため、忘れず記入してください。
粗大ゴミの回収は、回収依頼のほかに、港区の芝浦清掃作業所に直接持ち込む方法もあります。この場合、戸別収集と比べて手数料が無料もしくは安く設定されているため、お得に粗大ごみが処理できます。申込方法は、回収と同様に粗大ごみ受付センターに電話、もしくはネットからの事前申し込みとなります。
粗大ゴミの処理を検討する際は、粗大ゴミに該当しない大型ゴミに注意をしましょう。エアコン・テレビ・冷蔵庫・パソコンなどリサイクルが義務付けられている製品に関しては、区で回収・処理できないため、リサイクル業者に有料で買い取ってもらうか、家電量販店の下取りをしてもらうなどして廃棄してください。不法投棄した場合は、罰金もしくは懲役刑が課せられるため、注意が必要です。
事業系のゴミ・資源処理については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(=廃掃法)」の定めによって、排出事業者自らの責任で廃棄を行わなければなりません。事業者自らの処理が難しい場合は、東京都もしくは港区が認可した廃棄物処理業者へ、適切に廃棄を委託しなければなりません。廃棄物の適正処理もしくは、適正な委託が行われなかった場合、罰金もしくは懲役刑、行政処分がくだされるため、社会的な信用や事業の将来を左右するため、厳格に法律を守ることが重要です。
さらに、廃掃法では、事業者の廃棄物に対する発生抑制、再利用などの3Rにまつわる取り組みを行い、ゴミの減量に努めることについても義務付けられています。
事業者から排出される廃棄物の大半は、一般廃棄物と呼ばれるゴミ・資源です。一般廃棄物には、生ゴミや紙くず、ペットボトルやびん・かんなど、主に一般家庭から出されるゴミ・資源と同種の廃棄物が該当します。
事業系の一般廃棄物は、内容に関しては一般家庭から出される一般廃棄物と大差はありませんが、最終処分までの責任については事業者自身にあります。港区が許可する一般廃棄物処理業者に、廃棄を依頼しましょう。
一方で、少量の一般廃棄物しか排出しない、小規模事業者に対しては港区が回収・処理を有料で代行しています。回収しているのは、可燃ごみ・不燃ごみ・資源です。可燃ごみ・不燃ごみは、10~70リットルの袋に、事業系有料ごみ処理券を貼付して排出してください。ただし、区の事業系ゴミ・資源は、家庭ゴミの回収に支障がない範囲で行われています。そのため、ゴミの排出量が増えてしまうと区が回収できなくなる可能性があるため、各事業者によるゴミの減量に努めることが重要です。
事業者から出る産業廃棄物については、一般廃棄物とは処理の方法・責任・管轄行政が違うため、注意が必要です。
産業廃棄物は、汚泥・廃酸・コンクリートくず・がれき類・廃アルカリ・金属くずなど法で定められた6種類・政令で定められた14種類の計20種類の廃棄物を指します。産業廃棄物は、基本的に都道府県が管轄しているため、産業廃棄物の処理業者の認可は東京都が行っています。産業廃棄物の処理を委託する場合は、東京都の許可証があるかしっかりと確認しましょう。ほかにも、業者と委託する場合には、許可を受けている業務の範囲・委託できる品目についても確認しなければなりません。産業廃棄物は、「収集運搬」「処理」といった業務の範囲、20種類のうち委託を受けられる品目について、東京都の許可が異なるため、委託する業務内容によっては、違法な業務委託になってしまう可能性があります。
委託時に結ぶ契約書には、「収集運搬・処理を委託する廃棄物の種類」「契約の期間」「最終処分場」など、既定の情報を漏れなく記載することが義務付けられています。さらに、産業廃棄物管理票(マニュフェスト)の発行・保管も必要で、委託された廃棄物の処理までの流れを記載しなければなりません。
このように、産業廃棄物には多くのルールがあるため、適切な廃棄ができるよう、正しい処理・委託方法について、社内への周知を徹底しましょう。
今回は、東京都・港区のゴミ事情と、ゴミの分別・排出ルールをご紹介しました。港区では、人口増加にも関わらず、ゴミの回収量は減少しており、区をあげて取り組んでいる3Rの効果が出ています。 今後も、さらなるゴミの減量を目指していくなかで、区行政・事業者・区民それぞれの協力が欠かせません。今回ご紹介したゴミ・資源の分別・排出ルールを守って、みんなが快適に暮らせる循環型社会を実現していきましょう。
※当記事は公開当初の情報に基づき執筆しております。(最新の情報は行政HPをご確認ください。)
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