東京都中央の南部に位置し、東京都内でもとくに住みやすいことで知られている多摩市。多摩ニュータウンなど都心エリアのベッドタウンとして発展してきたため、生活のしやすさ・利便性・自然がそれぞれバランスよく揃っています。市内の駅から新宿・渋谷には、いずれも30分程度で行くことができるため、学生からファミリーまで幅広い層に人気があります。
今回は、多摩市に住むにあたって必要となってくる多摩市の家庭ごみ・資源の分け方・出し方、事業系廃棄物の処理の概要を紹介します。住環境に大きなプラスとなっている自然を守り、ごみの処理に使われる税金を減らすためには、市民・事業所の協力は欠かせません。正しいルールを知って、ゴミの減量にも努めましょう。
2017年多摩市のごみ排出量は、約3.8万トンでした。これは、1人1日当たりに換算すると579グラムとなります。多摩市のごみ排出量は、1999年に約5.5万トン、2010年に約4.2万トンと、徐々に減量してきました。排出量が減ったのは、環境問題・ごみ問題に国・自治体が積極的に取り組むようになったことをはじめ、市民や事業所の意識にエコな社会に対する意識が定着してきたことも理由と言えるでしょう。
多摩市は、今後もごみを減らしていくために、下記のような取り組みを行っています。
・有料指定袋の価格(10枚1セット)
色 | 5リットル | 10リットル | 20リットル | 40リットル | |
---|---|---|---|---|---|
燃やせるごみ | クリーム | 70円 | 150円 | 300円 | 600円 |
燃やせないごみ | ピンク | ||||
プラスチック | 透明 | - | - | 100円 | - |
ただし、清掃のボランティアによって集められた廃棄物や、おむつは別の無料袋が配布されています。いずれの指定袋も、市内のコンビニ・商店・スーパーマーケット・ドラッグストアなど「有料指定袋、粗大ごみ処理券およびし尿処理券取扱店」で購入できます。
多摩市では、「ごみゼロデー」「市民清掃デー」が行われているため、住み良い住環境の保全に参加してみましょう。
多摩市のごみ減量啓発情報紙「ACTA(アクタ)」では、このような身近に感じにくいごみ問題や、多摩市のごみに対する取り組みなどについて紹介されています。
それでは、一般家庭から排出される廃棄物の分け方・出し方を、詳しく解説します。多摩市では、有料指定袋が設定されているため、指定袋の使用は絶対です。また、指定袋を使用していても、正しく分別されていない廃棄物があれば、回収してもらえないこともあります。
住宅街が多い多摩市では、それぞれの家庭が正しくごみを排出することが重要となります。
ごみ・資源は、対象の収集場所に、朝8:00までに排出してください。戸建て住宅の場合は、道路に面した自宅敷地内です。集合住宅の場合は、指定の集積場です。
■燃やせるごみ
燃やせるごみは、週に2回収集があります。
燃やせるごみには、生ごみ・汚れたプラスチック・文具・使い捨てカイロ・ペット用の砂やシート・靴・ゴム製品・資源にならない紙類・ディスク類・金属が付いているプラスチック製品などが該当します。
生ごみは、絞って水気を十分に切ってから排出してください。資源にならない紙類には、汚れたティッシュペーパー・汚れた紙・レシート・写真・シュレッダー紙・防水加工されている紙皿やカップなどが含まれます。
上記は、指定袋に入れて出してください。
ただし、草・葉・枝や紙おむつは、無料で排出することができます。葉・草は45リットルまでの透明または半透明の袋3袋分まで、せん定枝は3束までの制限があります。紙おむつは、無料配布されている紙おむつ用の袋を利用しましょう。
■燃やせないごみ
燃やせないごみは、月に2回収集があります。
燃やせないごみには、ガラス類・薬品用びん・油で汚れたびん・割れたびん・アルミホイル・白熱電球・LED電球・植木鉢・刃物・陶磁器類・鏡などが該当します。
上記は、指定袋に入れて出してください。
刃物・割れ物に関しては、回収時に危険が生じる可能性があるため、次の処理を行ったうえで、指定袋に入れて、「危険物有」と表記してください。包丁・はさみ・カッターなど刃物は、紙とテープで刃の部分を包む必要があります。割れたガラスや陶磁器は、新聞紙に包みましょう。剃刀の刃・針は、散らばらないように包みましょう。
■プラスチック
プラスチックは、週に1回収集があります。
プラスチックには、レジ袋・菓子袋・プラスチックのラベル・お弁当パック・白色トレイ・シャンプーや洗剤のボトル・たまごのパック・空の薬剤シート・緩衝材・発泡スチロール・プラマークが付いているものなどが該当します。
上記は、指定袋に入れて出してください。指定袋に入らないものは、燃やせるごみの指定袋40リットルサイズに入れて、燃やせるごみとして排出してください。それ以上のサイズのものは、粗大ごみとなります。
また、下記の排出には、注意が必要です。
ビニール紐・ボトルのノズル、クッションやまくらは、燃やせるごみの収集対象です。白色トレイは、できるだけお店に返却が推奨されています。
■有害性ごみ
有害性ごみは、月に2回収集があります。
有害性ごみには、蛍光灯・水銀体温計・乾電池・ライター・ボタン電池・カセットボンベ・スプレー缶・コイン型リチウム電池・ボタン電池などが該当します。
蛍光灯は、購入した時の箱に入れるか、袋に入れて排出してください。乾電池は、まとめて袋に入れてください。
スプレー缶やカセットボンベは、中身を使い切ってください。中身が入っていると、車両火災の原因となります。
コイン型リチウム電池とボタン電池は、見た目は似ていますが異なる電池です。ボタン電池は、両面にセロハンテープを貼って、回収協力店のボタン電池回収缶へ出すことが推奨されています。
戸建て住宅の場合は、透明もしくは半透明の袋に入れたうえで、カゴに入れて排出してください。集団住宅の場合は、緑色の有害ごみ用の容器に入れて出してください。
■小型家電・金属類
小型家電・金属類は、月に2回収集があります。
小型家電・金属類には、大きさ60cm以下、重さが5kg未満程度のコンセント・電池で可動する小型電化製品や主に金属でできた廃棄物が該当します。例えば、電気ポット・炊飯器・ヘアドライヤー・スピーカー・扇風機・掃除機・電子辞書・デジカメ・スマホ・タブレット・水筒・鍋・工具・ハンガー・スプーン・油用の缶・ペンキ缶・傘・ゴルフクラブです。
小型家電・金属類は、「多摩市」と表記して排出してください。複数個出す場合は、透明の袋に入れて「多摩市」を表記してください。
パソコンや、テレビ白物家電は法律でリサイクルが義務付けられています。小型家電・金属類としても、粗大ごみとしても排出できないので要注意です(リサイクル業者もしくは家電量販店などでリサイクルに出しましょう)。
■雑誌・雑紙
雑誌・雑紙は、週に1回収集があります。
雑誌・雑紙には、雑誌・本・トイレットペーパーの芯・封筒・紙袋・チラシ・パンフレット・菓子箱・包装紙などが該当します。
雑誌や本は、紐で十字に縛ってください。封筒やトイレットペーパーの芯などは、紙袋に入れて排出してください。チラシや小さい雑紙は、大きな雑紙で包んでも構いません。
濡れるとリサイクルできなくなるため、できるだけ晴れの日に排出してください。
■新聞
新聞は、月に2回収集があります。
新聞紙は、紐で十字に縛ってください。折込チラシとまとめても構いません。ビニール袋に入れたり、粘着テープでまとめたりはしないでください。
濡れるとリサイクルできなくなるため、晴れの日に排出が推奨されています。
■ダンボール
ダンボールは、月に2回収集があります。
ダンボールは折りたたんだうえで、十字に縛ってください。粘着テープや金属は、外してから排出してください。
濡れるとリサイクルできなくなるため、できるだけ晴れの日に排出するようにしてください。
■古布
古布は、月に2回収集があります。
古布には、シャツ・セーター・スカート・毛布・靴下・ジャケット・帽子・着物・カーテン・タオル・ベルトなどが該当します。ぬいぐるみ・スリッパ・羽毛などは、燃やせるごみの収集対象です。
排出する際は、透明もしくは半透明に入れてください。ボタンやファスナーは、外さずにそのままにしておきましょう。リサイクルするため、綺麗に洗濯したものを出してください。
濡れるとカビが生えてリサイクルできなくなるため、雨の日は排出を控えて、できるだけ晴れの日に出してください。
■缶・ペットボトル
缶・ペットボトルは、週に1回収集があります。
缶は、食品・飲料用のものが対象です。ペットボトルは、PETマークが付いたものが対象です。
ペットボトルのキャップ・ラベルは外して、プラスチックとして出してください。排出時には、中をすすいで、軽く潰しておきましょう。
戸建住宅の場合は、「缶・ペットボトル用」と表記したカゴを用意して排出してください。集合住宅の場合は、指定されたカゴに入れてください。
■びん
びんは、週に1回収集があります。
びんとしては、飲料用のもの・化粧品のびんなどが収集されています。
中はすすいで、汚れをとってから排出しています。
戸建住宅の場合は、「びん用」と表記したカゴを用意して排出してください。集団住宅の場合は、指定されたカゴに入れてください。
粗大ごみは、他の一般廃棄物とは異なり、事前予約・有料で「通常収集」もしくは「直接持込」によって排出することができます。多摩市の粗大ごみは、家庭から出る有料指定袋に入らない大きさで、5キログラム以上ある大型のごみのことを指します。例えば、テーブル・椅子・自転車・食器棚・ベッドフレームなどです。
「通常収集」してほしい場合は、多摩市の多摩市役所くらしと文化部ごみ対策課の粗大ごみ専用ダイアルに電話する、もしくは電子申請「東京電子自治体共同運営サービス」を利用してインターネットから予約します。受付日時は、祝日・年末年始を除く平日の午前8:30~午後5:00です。申し込みの際は、粗大ごみの品目・数量・大きさ・住所・氏名・電話番号を伝えましょう。 粗大ごみの収集は、原則として1回につき3点までの制限があるため、複数排出したい場合は注意が必要です。引越し前は、6点まで認められています。
粗大ごみ収集の予約が完了したら、粗大ごみ処理券を購入して、氏名を記入して粗大ごみに貼付してください。粗大ごみ処理券は200円・400円の2種類があるため、予約時に案内された処理手数料の金額となるように組み合わせて購入してください。粗大ごみ処理券の販売場所は、コンビニなどの「有料指定袋、粗大ごみ処理券およびし尿処理券取扱店」です。分からない場合は、申し込み時に問い合わせてください。 当日は、朝8:00までに、申し込んだ粗大ごみを出しておいてください。運び出しが困難な65歳以上の高齢者や身体障がい者の方などは、申込時に運び出しを依頼できます。
自分で多摩清掃工場に粗大ごみを持ち込む「直接持込」で排出する場合は、粗大ごみ専用ダイヤルに電話して予約をとります。受付は、原則持ち込む当日までです。祝日・年末年始を除く平日、第4日曜日の午前8:30~11:30、午後1:00~4:30まで持ち込むことができます。
料金の支払いは、粗大ごみ処理券ではなく、10キログラムにつき250円となります。持込時には、本人の住所が確認できる免許所や郵便物などを持参してください。
続いて、事業系廃棄物の処理方法について解説します。 事業系廃棄物は、家庭ごみと違い、排出する事業所の自己処理もしくは、委託処理を行う義務が「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」によって定められています。そのため、オフィス・工場・ホテル・個人営業の店舗をはじめ、学校やNPOにおける事業活動によって排出される廃棄物は、事業所自ら処理する責任があるのです。これは、「排出事業所責任」と呼ばれています。
事業活動によって発生する廃棄物は、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に大別されます。ここでは、2種類の違いも含めて見ていきましょう。
事業系一般廃棄物とは、事業活動によって排出される廃棄物のうち、産業廃棄物以外のごみ・資源を指します。事業所の業務によって排出される廃棄物もちろん、従業員の弁当のゴミなども事業系一般廃棄物に含まれます。
一般廃棄物であるため、家庭から出るごみ・資源と被る内容はありますが、廃掃法の排出事業所責任によって原則自治体の収集に出すことはできません。基本的には、多摩市が許可を出した一般廃棄物収集運搬業者へ、処理をする必要があります。 業者に委託する時には、一般廃棄物収集運搬業者の営業許可証や多摩市の一般廃棄物管理票(マニフェスト)の交付条件の確認など注意する点が多数あります。
一方で、1日平均排出量が10キログラム未満の少量排出事業所は、条件をクリアすることで、多摩市の収集に申し込むことができます。収集に出す場合は事業系有料指定袋を購入、多摩清掃工場に持ち込む場合は手数料を支払います。
産業廃棄物は、建設工事や工場での事業活動によって排出される廃棄物のうち、廃掃法によって定められる20種類の廃棄物です。汚泥・廃酸・燃えがら・廃プラスチックなどが含まれます。また、より有害性が高い特別管理産業廃棄物も存在します。
産業廃棄物は、市の廃棄物処理では適正処理できないため、処理を産業廃棄物処理業者に委託する必要があります。少量であっても、業者に委託しなければなりません。産業廃棄物は、事業系一般廃棄物よりも厳格に規制が行われており、委託についても細々とした規制が設定されています。産業廃棄物処理業者・産業廃棄物収集運搬業者は、基本的に都道府県単位で営業許可が出されています。管轄が都道府県となるため、産業廃棄物管理票の交付や報告も東京都に行います。
廃棄物の処分にあたって、違法行為を行うと懲役・罰金の罰則や、行政処分が科せられます。不明な点や注意点は、多摩市・東京都に問い合わせて、確認してください。
今回は、多摩市のゴミ出しルールを、排出事情や環境への取り組みと合わせて紹介しました。多摩市が減量の啓発を行っても、市民・事業者が実践しなければ、ごみは減りません。市民・事業者が支払っている税金をより良く使うためにも、まずは正しいルールを知って、正しいゴミ出しを習慣づけましょう。
※当記事は公開当初の情報に基づき執筆しております。(最新の情報は行政HPをご確認ください。)
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