超高層ビルや繁華街で賑わう池袋や、おばあちゃんの原宿とも呼ばれる巣鴨など区外から人が集まる豊島区は、中間人口が夜間人口の1.6倍にもなります。また、日本の国花でもあり、日本人になじみ深いソメイヨシノの桜も、豊島区の旧染井村が発祥と言われています。
今回は、このように様々な側面を持ち、東京の副都心としての機能を有する豊島区に暮らすうえで欠かせない、ゴミの分別やゴミ出しのルールを紹介します。さらに、豊島区のゴミの減量やリサイクルに対する取り組みや、行政と区民が協力して環境問題に取り組んでいる現状についてもお伝えしていきます。
ゴミの減量・環境問題への取り組みにも参加できるよう、正しい知識を身に着けていきましょう。
まずは、豊島区のゴミ回収量の現状をご紹介します。 豊島区では、大量生産・大量消費・大量廃棄の大消費社会からの転換を計っており、生産・消費・廃棄の各段階においての廃棄物を抑制しています。
豊島区の人口は平成24年に約26.7万人であったのが、平成29年には約28.6万人にまで増加しました。一方で、平成24年の一般家庭から出たゴミの回収量は約5.9万トンでしたが、平成29年には約5.68万トンと減少を実現しています。平成14年では約7.8だったことからも、その減少量が著しいことが分かります。 資源に関しても、平成24年には約1.6万トンで、平成29年には1.4万トンでした。ゴミの回収量が減少するなか、一定の資源回収量を維持しています。
それでは、ゴミの減量に成功した豊島区の取り組みについて見てみましょう。 豊島区が行う取り組みやシステム作りは、行政と区民・事業所が一体となれる仕組みを作っているところがポイントです。
通常ゴミの処理は、「廃棄物処理及び清掃に関する法律」に従って適切に行われなければなりません。豊島区ではこの廃掃法に加えて、「豊島区廃棄物の発生抑制、再利用による減量及び適正処理に関する条例」を制定しています。 この法律の目的は、廃棄物を軽減させ、再生利用を促すことで循環型の都市を形成し、区民の健康で快適な生活を確保していくところにあります。 条例としてゴミの減量を義務付けることで、区長にも目的達成のための努力や廃棄物の適正な処理への支援する義務が生まれ、官民一体のゴミの発生抑制と循環型社会の創造をより確実に行うシステムが整備されました。
また、この条例では、区民や区議会議員・区職員・学識経験者などから構成される豊島区リサイクル・清掃審議会が設けられることも明記されています。清掃事業が規定通りに運営できているか否かや運営に関する重要事項に関して区長に意見できる機関であり、区民も取り組みにしっかりと参加するができます。
東京都では、平成12年より東京都からゴミの処理・清掃事業の責任主体が移行されました。一方で豊島区では、この移管に先駆けて、平成7年より資源の回収品目を拡大したり、分別回収を実施したりと廃棄物の減量・資源化に取り組んできました。
平成25年に改訂された第3次循環型社会形成推進基本計画では、東日本大震災によって廃棄物処理のライフラインが重要視されたことから、リデュース・リユース・リサイクルだけでなくそれらの質に注目した循環型社会の強化を目指すことが取り決められました。 期間は平成26~40年度までの15年間で、平成40年度には1人当たりのゴミの排出量を1日当たり436グラム、一般廃棄物回収量を4.3万トンにまで削減することを目標に掲げています。具体的な取り組み内容には、商店街や小中学校・大学・NPOなど地域社会に連携の場を創出しその中から積極的に取り組みを進めるためのリーダーを育成してくことや、家庭ごみの有料化の導入検討などが挙げられます。
それでは、豊島区のゴミの出し方・分別の詳細をご紹介します。 一般家庭はもちろん、事業所も多い豊島区では、日本語の他に英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ミャンマー語・ネパール語のゴミ・資源の分け方・出し方のパンフレットも製作・配布し、区民全体の分別の徹底を促しています。
循環型社会の創造には、まずは区民が適切にゴミと資源を分別する必要があるため、転入して来た場合や現在分別をきちんとできているか不安な場合は、ぜひ確認してみましょう。
豊島区のゴミ排出は、基本的に3種類に分けられており、それぞれ指定の収集場所に朝8時までに出す必要があります。 また、カラスや猫などの被害が多い地域には、豊島区が貸し出している防鳥ネットを利用することもできます。
■燃やすごみ
燃やすごみの回収は各地域週2回、一度に出すことができる燃やすごみは中身の見える45Lの袋3袋まで、と決められています。
燃やすごみは生ごみをはじめ、紙・布に染み込ませるもしくは固めた食用油や紙おむつ・革製品などが該当します。
ここで注意したいのが、燃やすごみとして回収されているプラスチック類です。おもちゃやチューブ容器などのプラスチックはもちろん、他区では資源として回収されるケースもあるプラマークが付いているプラスチック製品も、トレーなど一部品目を除いて燃やすごみとして出す必要があります。
■金属・陶器・ガラスごみ
豊島区でのいわゆる不燃ゴミの回収は月2回、分別して出すことになっています。
傘・ハンガー・カイロ・ドライヤー・金属製の蓋などの金属製品として中身の見える容器・袋に入れて出します。
コップやグラスなどの投棄・ガラス類の割れているものは新聞紙などに包み「キケン」と書くなどして、回収に時にケガしないよう配慮して出しましょう、ハサミや包丁などの刃物類も新聞紙でくるんで注意書きを付けて出しましょう。
スプレー缶・カセットボンベ・ライターなどは穴を開けずに袋に入れ、品目名を書いて出します。
■資源
ビン・カン・ペットボトル類の回収、紙・布類の回収はそれぞれ各地域週に1回ずつです。
回収されるビン・カン・ペットボトルなどは汚れを洗い流してから回収ボックス・回収ネットに入れて置いておきます。カン・ペットボトルはできるだけ小さくなるよう、潰せるものは潰して出してください。
資源として回収するプラスチック製品は、シャンプー・リンス・ソース・ドレッシング・化粧品・洗剤・食用油の容器と食品用の発泡スチロールのトレーです。上記以外のブラスチック製品は燃やすごみとして出す必要があります。
粗大ゴミとは一辺が30cm以上約の廃棄物を指します。 この粗大ゴミを豊島区に回収してもらうためには、事前に申し込みをして、有料の粗大ごみ処理券を購入・添付する必要があります。ここからは、粗大ゴミ処理に関する予約から回収までの必要事項をお伝えしていきます。
豊島区の粗大ゴミは、東京都内の一部地域を除く粗大ゴミ処理を受け付けている「粗大ごみ受付センター」に、電話かインターネットから申し込みます。申込時に、ゴミの収集予定日・収集場所・必要な処理券の種類の確認が行われます。申し込みが完了したら、回収日までに豊島区内にあるコンビニやスーパー・商店などの粗大ごみ処理券の販売協力店で、必要な処理券を購入しておきましょう。粗大ゴミの処理手数料は400~2,000円とサイズによって様々で、200円の処理券Aと300円の処理券Bを組み合わせて貼りつけます。
そして収集の当日には、処理券を貼付し、申し込み時に確認された収集場所に朝8時までに出しておきます。粗大ゴミの収集は、一般廃棄物の回収場所と同じと限らないため、収集予約をするときに必ず確認しておきましょう。粗大ゴミを指定の場所まで運べない65歳以上の高齢者・障がい者のみの世帯である場合は、豊島清掃事務所まで相談することになっています。
また、粗大ゴミの回収・処分を申し込む場合は、注意すべき点についても抑えておく必要があります。 最初の注意点は、回収できる粗大ゴミは1辺が約2m未満で、収集が困難でないものという条件があることです。回収が困難となる長い廃棄物は、解体するなど回収できるサイズにする必要があります。
第二に、一般ゴミに出せない廃棄物がすべて粗大ゴミとなるわけではない、ということに注意しなければなりません。日本全国で、リサイクルに対する意識が高まり、白物家電やテレビ・パソコン・スマホ・デジタルカメラなどは、家電リサイクル法・パソコンリサイクル法・小型家電リサイクル法などの法律によってリサイクルが義務付けられています。 これらのリサイクル対象の電子機器は、メーカーの下取りに出したり、家電リサイクルセンターへリサイクル料金を払っての処分が必要となります。小型家電に関しては、区内の公共施設内に設置してある回収ボックスに投棄しましょう。
事業活動から排出される廃棄物は、基本的に排出する事業者が自ら処理すること、もしくは行政が認めた指定の業者による運搬・処理が法律で義務付けられています。そして事業系の廃棄物・産業廃棄物に関しては管轄が東京都となるため、処理・運搬の契約は東京都の認可が下りている業者と結ぶ必要があります。
原則として、事業者自らの廃棄物処理ですが、1日に出る廃棄物が10キロ未満で事業者自身での処理が難しい場合には、有料で豊島区が回収・処分しています。 店舗兼自宅で仕事を行っている事業者などは、家庭ゴミと事業活動から排出されるゴミとを分けて出す必要があります。事業系のゴミは、有料ごみ処理券を容器もしくは袋に貼付して出さないと、回収されないため注意が必要です。少量の事業系ゴミの処理券は、豊島区の販売協力店・スーパー・コンビニなどで購入でき、ゴミの量によって10L・20L・45L・70Lと分けられています。
産業廃棄物は、事業活動で排出されるゴミの内廃棄物処理法・同法令で定められた20種類の廃棄物を指します。産業廃棄物に関しては、少量であっても東京都指定の産業廃棄物処理業者に委託するか、事業者自らが処理する必要があります。認可がある処理業者に関しては、東京都環境局にて相談・照会することが可能です。
産業廃棄物は環境や住民の生活環境に悪影響が出る廃棄物であるため、保管・運搬・処分すべての段階において管理・対応をすべて法律に沿って行う必要があります。
処理業者に委託する場合は、まずは東京都の許可を受けていることはもちろん、委託する業務内容が許可を受けている範囲に該当するのか、処理基準を満たしているのかを確認しましょう。廃棄物処理業者の認可の有無や許可範囲は、東京都が発行している産業廃棄物処理業許可証に記載されています。 適切な処理を行わない・許可業者以外へ依頼した場合は、罰金もしくは懲役刑が科されるため、産業廃棄物の取り扱いに関しては必ず法律を順守する必要があります。場合によっては、事業所に対して行政処分が下される可能性もあります。このように厳しい罰則を避けるためにも、東京都は性格な知識を持った産業廃棄物管理責任者を立てることを義務付け、適切な処理を促しています。
さらに、東京都環境局では産業廃棄物の適切な処理を行うための「産業廃棄物管理責任者講習会」も行っています。各事業者から選任された担当者は、産業廃棄物の処理に必要な知識・理解を持つ必要があり、法律・法令順守はもちろん区民の安全を確保しなければなりません。企業を守り、適切な処理・業者への依頼を行える人材育成を行える機会として有効に活用できます。
今回は、大都市・下町両方を有する豊島区の廃棄物処理方法や、ゴミの減量に対する取り組みをまとめてご紹介しました。 大量消費の時代にある日本ですが、豊島区ではゴミの削減に注力し、2028年までの循環型社会の創造について具体的な将来像を計画しています。目標達成のためには区民一人ひとりの協力が不可欠であり、各自の努力がなければ今後の安全な住環境が脅かされてしまいます。
一般家庭・事業所それぞれ定められたルールをしっかり守って、適切な排出に努めましょう。
※当記事は公開当初の情報に基づき執筆しております。(最新の情報は行政HPをご確認ください。)
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