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日本の通常の宅配の流れを思い浮かべてみてください。それぞれに管理ナンバーが添付され、いつ、どこで出荷されたものか、いつまでにどこに届けばいいのか、いまどこを荷物が移動しているのか、どの担当者が責任持って運搬しているのか、到着時間の目安までわかるのが当たり前になってきています。こうした配送のシステムを廃棄物にまで展開していこうと、サティスファクトリーと提携企業のプロジェクトが始動しました。
迅速な配送、効率のよいトラックのサイズ選定、無駄を省いたルートの構築など、廃棄物の流れがはっきりと見えるシステムを、ベトナムに導入しようというのが今回のプロジェクト。このプロジェクトから、海外に進出する難しさが見えてきただけでなく、今後、サティスファクトリーらしくどう展開していくかの道筋が見えてきました。
環境という視点で
始まったプロジェクト
プロジェクトの始まりは、国内で配送コンサルティングの経験を積んできたサティスファクトリーが、海外に環境支援、環境貢献をできないかと模索していたタイミングで、某企業のシステムをベトナムに導入できないかという打診があったことです。配送車の大きさや載せる廃棄物の量によって、効率的に配車できるように自動計算するシステムです。このシステムを導入できるかできないか、その判断を任されたサティスファクトリーは、まず大規模な調査を開始しました。将来のベトナムや周辺諸国の廃棄物収集運搬業を大きく見据えた調査になります。
調査の実施のためには、ベトナムの廃棄物収集運搬会社と協力して、その会社が管理している廃棄物集積所と、収集運搬車両の両方にGPSを設置し、廃棄物の流れを掴む必要がありました。ホー・チ・ミン市には22の区があり、そのすベてに廃棄物収集運搬会社がありますが、それらは公社(国営の会社)の管轄。海外からアプローチできる会社数には限りがあり、調査協力を取りつけるための手続きも非常に繁雑でした。結果として、全ての会社に試験協力を断られてしまったのです。現地にパートナー企業を得られないということは、事業の導入はほぼ不可能になってしまいます。
届けたいのはモノではなく、コトだ
システムの導入どころか、その試験にすら協力してもらえない状況。そこには理由がありました。地域や国ごとに、ビジネス文化というものが異なるからです。書類ひとつとっても、期限の管理が厳しい国とそうでない国とではかかる時間や労力が違います。何より、はっきりとした必要性を感じないものに対して慎重なベトナムでは、新規事業に対する不信感があり、それをなかなか払拭できないでいました。
そこでサティスファクトリーはもう一度原点に帰って再考し、気づきました。売るのは、モノではなく、コトなのではないかと。システムを売るのではなく、システムがあることによって豊かになる生活や、便利に暮らせるというイメージ、つまり導入することの価値を届けるんだ。再度ホー・チ・ミンの全廃棄物収集運搬会社にアプローチし、一度は断られた理由を丁寧に探っていきました。その結果見えてきた課題に対し、解決のための提案をした結果、無事、期限内に事業協力の了承を得ることができました。すぐにモニタリングを開始することができるようになったのです。
プロジェクトから見えてきたこと
プロジェクトから見えてきたこと
GPSによるモニタリングを行うことができ、今後、ベトナムだけでなく、周辺地域にまで日本の環境システムを広げていけるかもしれない、そんな希望が湧いてきました。しかしこれはひとつの階段を登ったにすぎません。このプロジェクトで、サティスファクトリーのまだまだ足りなかった部分が見えてきました。
改善していくべきものは大きく3つあります。ひとつは、徹底的に顧客目線に立って話を聞くという姿勢です。商品のよさばかりをアピールしても、相手が本当に求めているものが何なのかは見えてきません。クライアント、パートナー企業双方の協力がないと成り立たないサティスファクトリーのビジネスにおいて必要なことは、相手の目線でなぜそれが必要なのかを感じ、ヒアリングしていく能力なのです。
2つ目は、海外事業を今後も進めていく上での、しなやかな柔軟性です。異なる文化を認め、尊重しつつ、ヒアリングした内容を双方にとってよい結果に結びつけていくフレキシブルさが必要です。
3つ目は、これからどんな分野に進出していけるか、アンテナをはって情報収集する力です。今回のプロジェクトは、日本の他の環境企業と協働で実現しました。今後は自分たちでも提案できるものはないか積極的に開拓していかなくてはなりません。
環境問題は日本だけの問題でなく、世界全体に関係することです。日本の環境技術は国際的に高い評価を得ていますが、まだまだ国際競争力では遅れをとっています。サティスファクトリーの海外営業の使命は、日本の環境技術を世界に普及する一助となること。これからも、環境商社という立ち位置で、さまざまなプロジェクトに関わっていきます。
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