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地球温暖化、化石燃料の枯渇、発電所の安全性やレジリエントなど、現代社会ではあらゆる視点でエネルギー需給の在り方が問われています。その上で、大手電力会社による中央集権的な発送電体制から分散自立型供給に切り替わるひとつの手段として、再生可能エネルギーは欠かせません。日々、環境課題に向き合うわたしたちにとっても、再生可能エネルギー事業は大切な環境貢献であり、様々な地域と繋がる架け橋であり、また安定的な収益源でもあります。
東日本大震災が後押しした
電力システム改革
戦後、日本では一般電気事業者つまり大手電力会社による地域独占の電気事業が行われてきました。その制度改革といえば、1999年の電気事業法改正に始まった電力小売の自由化です。これは、規模が大きい供給対象から順に小売事業が開かれ、競争原理の導入や内外価格差の是正を目的に段階的に進んできたものです。ただしその実態は、依然としてつづく一般電気事業者の発送電一貫の運用体制から、独立系発電事業者が電力網を使用するにあたっては公平性や透明性に欠けるものでした。
そこで、この流れの転換点となったのが、2011年の東日本大震災と福島第1原発事故です。一か所の発電所が賄う需要地域があまりに広いがゆえに、局地的な災害だとしても広範囲に電力需給ひっ迫を招いてしまったこの事故。社会活動に甚大な損失が生じたことから、従来の中央集権的な電気事業体制の抜本的な見直しが必要であるとの認識が広まりました。
その後、2012年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始、2016年に電力小売全面自由化を経て、2020年に法的発送電分離が行われました。特に再生可能エネルギーの地産地消は社会的価値を伴い、小規模分散型の独立した電力システムは多くの地域に受け入れられました。ようやく整備され始めた事業環境は、再生可能エネルギー市場が健全に育つ土壌となり、多くの発電事業者や新電力会社から期待が寄せられたのです。
太陽光発電の柔軟性と地域政策の願い
地球温暖化防止において、温室効果ガスである二酸化炭素の排出を削減することは世界共通のミッションです。と同時に、これらの対応を成長機会ととらえる国際的な潮流が加速しています。今やカーボンニュートラルに向けた目標宣言は、国に始まり地方自治体や企業などに広がっています。そして、その具体的な実行策としてまず見直されるのが、エネルギー起因の排出です。代替が期待される再生可能エネルギーのなかでも、特に太陽光発電は、比較的 設置場所のハードルが低く設備規模を柔軟に設定できることから、個人法人問わず盛んに導入が進んでいます。
これらを支援する自治体が地域内に再生可能エネルギーを求める背景は、地球温暖化対策に限りません。同じく喫緊迫った課題に挙げられるのは少子高齢化や過疎化による地域経済の疲弊です。政策にスマートシティや地方創生が掲げられてきたものの、財源は限られ進捗は困難を極めています。そのような中で、エネルギーの自給率向上はそれまでの資金流出構造を一変させる経済波及を見込めるものです。地域内にある恒久資源をエネルギーに変え、地域内に供給し、余剰資源や余剰電力を地域外へ売電することは、地域経済の起死回生の一手になり得るのです。
公有の未利用屋根を活用して住民還元
公有の未利用屋根を活用して住民還元
サティスファクトリーの再生可能エネルギー事業は、県市町村単位の自治体から屋根や土地をお借りしています。再生可能エネルギーの中でも、とりわけ設置場所の規模を問わない太陽光発電設備は公共施設に適していて、未利用のローカル資産に新たな価値を創造します。例えば役場、小学校、給食センター、スポーツ施設、クリーンセンター、団地、道の駅など、その数は44地域、288カ所、設備容量は31,768kWにのぼります。
これらで発電した電気は、地域の非常用電源としても機能し、自然災害などによる停電時に住民に電源を開放しています。このような地域還元はレジリエンスを向上させ、住民の啓蒙や子どもたちへの環境教育の機会創出にも発展しています。
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